8月2日フィリピン・マニラで開催されるONE Championship「DAWN OF HEROES」に、日本の岡見勇信が出場する。デビュー戦となった5月のジャカルタ大会ではキャムラン・アバゾフに2RTKO負けを喫しており、連敗は避けたいところだ。
UFCなど北米のメジャー団体の経験を経て、前回初参戦のONEについて「アットホームで温かい、東南アジアの独特の世界観や雰囲気があった。(大会を)スタッフと一緒に作り上げようという空気も北米の大会とは違うものを感じた。PRIDEの流れを組む派手な入場の演出、意外と僕はああいう入場はやったことがなくて。リハーサルからしっかりやっていて、“リハーサルまでやるんだ”と思いました。僕もPRIDEとかで育った世代なので嬉しかったです」と振り返った。
UFCで最も実績を残した日本人ファイターが新天地で高いモチベーションと共にわずか3カ月で臨む復帰戦。「コンディションはベリーグッドです(笑)。もう少し体をイジメつつ、疲れを回復させるという時期に入ってきている」と語る岡見選手に現在の心境を訊いた。
― 前回は試合終了後に敗戦の悔しさとともに、次の試合への意欲もコメントから感じましたが。
相手あってのものですが、自分の実力を出しきれない、練習で積み上げていたものが上手く試合で発揮できなかった。噛み合わなかったのはあります。戦略と動きが一致せずに考えすぎてしまった部分が課題としてありました。無心で100%相手に向き合って感じたまま動けるように持って行くことが次戦では大事だと思います。
― これまで準備として重点的に取り組んだことは?
自分の体にそぐわない動きはやめようと。練習をしていると色々な欲が出てくるんです。長くやっているとマンネリ感から、新しいことが思いついてチャレンジしたくなる。そこはヘンに浮気せず、魔法を求めずに基本と自分の武器を見つめ直して、弱さや過去の自分の試合を振り返って「自分というものが何なのか?」を改めて考えるようにしています。
― 前回の初参戦で、例えばONEでは水抜きによる減量を禁止するなど独特のルールを設けていますが、戸惑いはありませんでしたか?
水抜きがないことが選手にとってどれほど凄いことなのかというのをはじめて感じました。今まで試合では水抜きのことで頭が一杯だったので、水抜きが無いことはコンディション的にもよかったと思います。あと尿比重という新しい計量があり、それは怖さがありましたけど無事にクリアしたので次は気楽にできるかなと思います。ちなみにONEに参戦している長谷川賢選手に尿比重のアドバイスを貰いました。
― 現在の練習環境は?
GEN SPORTS ACADEMYで総合格闘技を、そして頂柔術という道場で師匠の礒野元さんに寝技の練習をみてもらっています。対戦相手のジェイムス・ナカシマ選手は、北米のLFA経由でONEと契約した選手。彼は北米のMMAの色々な動きを繋げてくるので弱点があまりない。突出した武器があるわけではないのですが、気持ちが強くどんな局面でも自分のやるべきことを判っており、遂行してくるクレバーな選手だと思います。
ONEという舞台について「独特の世界観。日本や武道へのリスペクトがONEのチャトリ代表のなかにもある。大きくなりつつあるアジアのブランドは選手としても、面白さや魅力を感じます」と語る岡見選手。特に印象深い試合は、昨年のONEのベストバウトになったミャンマー大会でのアウンラ・エヌサンと長谷川賢のタイトルマッチだという。北米のMMAにはない価値観を次のように語った。
ミャンマーでのエヌサンと長谷川の試合を観て時代が変わったなと思いました。地元のお客さんのエヌサンへのリスペクト、ONEが作り上げたヒーローはUFCや北米のMMAにはない新しいスターの誕生を感じました。試合内容も凄かったですが、ミャンマーから誕生した彼がどんどん成長して強くなっていく、国を背負う存在がアジアの各国から出てくるのは熱いものがあります。例えばUFCの場合はケージでのリアルしかなくて勝った負けたを繰り返していく、そのなかで生き残ったものがスターになっていく。勿論ONEも選手の頑張りは必要だし試合にファンが介入はできないけれど、エヌサン選手の頑張りに「新しいヒーローをみたな」と僕は思いました。
10月には再び両国国技館で今年2度目の日本大会も決定している。今回の試合で岡見は、日本大会への参戦も視野に入れている。
「まずは次の試合に勝つこと。勝たなければ何を言っても説得力がない。勝つことで広めていくのが本物だと思うので僕はそれをやりたい。だから勝つしか無い。ONEのチャンピオンになれる男だと証明できる戦いをしたいと思います」
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