夏場を迎えてFC町田ゼルビアが苦しい状況に追い込まれている。7月3日に行われた天皇杯2回戦のカターレ富山戦以降、公式戦5連敗。さらには無得点と、得点力不足に悩まされている。
昨シーズンは4位に入るなど旋風を巻き起こし、今シーズンからサイバーエージェント社が出資していることで期待されたが、現在は勝ち点25で17位。降格圏の21位・栃木SCとはわずかに5ポイント差と残留争いの真っ只中だ。
そんな苦しいチーム状況のなか、存在感を示しつつある選手がいる。それは2年目のアタッカー・土居柊太だ。
“歯車”から試合を決するアタッカーへ
埼玉県所沢市出身の23歳は、浜松開誠館高校から明治大学を経て2018年にゼルビアに加入した。U-16で構成された静岡県国体少年選抜にも招集され、明治大学でもレギュラーとして活躍するなど将来を嘱望されてきた。
ゼルビアでの1年目も序盤こそベンチ外となるが、フォワードだけでなく、左右のサイドハーフをこなすなどポリバレントな部分も影響してメンバー入りを勝ち取る。さらに持ち味である「前線にボールを運ぶ力強さ」を相馬直樹監督に評価され、一気にスタメンを勝ち取った。
2年目の今シーズンはブレイクスルー候補だったが、第3節のモンテディオ山形戦でハムストリングを負傷し、そこから8試合を欠場。土居にとってもチームにとっても大きな痛手となった。
それでも復帰してからの土居は、自分のストロングポイントを生かしてチーム内での存在感を示している。ボールを運ぶ力強さはもちろん、運動量やセカンドボールへの反応、そして前線でボールを収めて時間を作るなど、前線のポイントとして欠かせない存在であることを示した。復帰から5試合は途中出場だったが、その後8試合はスタメンでピッチに立っていることからも、相馬監督の信頼が厚いことが伺える。
――しかし、だ。
チームが深刻な得点力不足だからこそ、土居に求められるのはそういった歯車の役割だけではなく、試合を決定づけるゴールではないだろうか? 得点力がない選手であれば、ゴールを求めるのは酷かもしれない。しかし土居には“強烈な右足”という武器もある。そんななか、ここまでまだ2ゴールという数字は少し物足りなさを感じる。
今の状況を打破するためには、何かを変える必要がある。チームとしてもこの嫌な流れを変えるため。自分にとっても、もう一皮むけるため。ブレイクスルーするためにも土居のゴールに期待したい。
文・川嶋正隆(SAL編集部)