1日、臨時国会が開会、メディアのリクエストに応じ、カメラを前に「NHKをぶっ壊す!」と何度となく決めポーズを見せていたのが比例で約99万票を集めたNHKから国民を守る党の立花孝志党首だ。
同日夜放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した立花氏は「やはり陛下もお越しになったし、こんなところにいちゃ絶対にダメだ、と思った。こう言っては怒られるかもしれないが、サラリーマンのように選挙に出た人もいると思う。でも僕は命がけてやって来ているし、国民を代表しているという自覚がめちゃくちゃあるからこそ、重圧がすごいし、怖い。早く目的を達成して辞めたいと思った」と初登院を振り返る。
僕が「悪い人だと言われるのは相当心外だ」と話す立花氏。丸山穂高氏の入党や渡辺喜美氏との会派立ち上げについての批判に対しても、「立法府なので、我々の仕事は法律を作ること。だから、基準はちゃんと法律が作れる人。山東昭子新参院議長がおっしゃっていた通り、政治家は全員が世界平和、国の安全、国民の幸せのために、という同じ方向を見ていて、ただそこに向かう手段が違うだけだ。自民党からも危ないと思われているが、自民党と同じやり方をしているだけ。自民党も右から左までいるから国民政党だし、そこに対抗できる二大政党を作るためは右も左も入って頂こうということ。必要な資質は思想ではなくて、法律を作ったり、予算の審査をしたりする能力があるかないか。それが判断基準だ。皆さんお忘れかもしれないが、悪いことをしたのに除名処分を受けないままの議員も多い」とし、丸山議員や渡辺喜美議員の手腕を評価した。
■”ポピュリズム”批判に「大衆に迎合しない政治家は独裁者」
一方、スタジオのコメンテーター陣からは、立花党首の考え方や政治手法に様々な疑問が出た。
まず、「10年以上投票に行っていなかった30代の知人女性がN国党に投票したと言っていた。しかし立花党首の政治思想が見てこないし、一部メディアではポピュリズム政党とも言われているが、実現可能な政策を提示せず、有権者が喜びそうなことだけ言うのがポピュリズムだとすれば、N国党はそうではないのか」と問いかけたのがジャーナリストの佐々木俊尚氏だ。
立花党首は「ちょっと待って欲しい。ポピュリズムというのは大衆迎合のことだが、大衆に迎合しない政治家は、逆に"俺たちが偉い、大衆はダメ"と考える独裁者ではないか。そうであればポピュリズム政党が現れるのが真っ当な民主主義国家だし、かつての民主党こそがポピュリズム政党ではないか。そして、我々はスクランブル放送を目指すと言って、NHKにお金を払わない人を守る活動をしてきている。当選する前から公約を果たしている政党はなかなか珍しいというか、唯一無二だ」と反論。
その上で「国民主権である以上、政治家の多数決ではなく、国民の多数決で決めるのが理想だ。その意味で、直接民主主義をした方がいいというのが僕の政治哲学だ。直接民主主義で政権を取るのはダメだと思っているが、少なくともその方が今よりもベターであると。自民党に対抗し得る政党を集めて二大政党制にし、与党に緊張感を与えるにはこれしかないと思うし、他に方法があるというならむしろ教えて欲しい。今の選挙は人を選ぶが、そうではなくて法案を選ぶ制度を作りたい。その実現に向けて、ニコ生のアンケート機能のようなシステムを導入したい。そして、自分では思想は"真ん中"だと思っているが、右・左の色がついてしまうと良くないので、NHKの問題以外については一切語らない。システムで出た結果に対して議決権を行使するだけだ。他に実現したい政策があるわけではないが、遠回りしてでも直接民主制を普及させ、その過程でNHKのスクランブルを目指す形にした方がいいという判断をしている。そしてスクランブル放送が実現したら、僕は後の人に譲る」と説明した。
■「政見放送の最初の3分間を練りに練った」
「単に映画やアニメのDVDを見たいだけなのに、テレビを買ったら受信料を払わないといけないというのはやっぱりおかしいと思う。しかも、ホテルも受信料を払わなければいけないので、泊まったらもうもう1回払うような料金設定になってしまう。そういう意味では、確かに言っていることは正しいと思うところがある。そういう完全否定しにくいポジションをうまく取っていると思う」と話すのが、2ちゃんねるの創設者・西村博之氏だ。
一方、西村氏は「NHKの政見放送で"不倫カーセックス"を連呼していたが、政見放送は子どもも見るものだし、見たほうが良いものだと思う。そこでマズいことをやったのは良くないし、エンターテインメントとして面白いということと、政治としてはやっていけないということの境目を持つべきだ。NHKの問題について立花さんは理論武装しているが、それ以外の部分では"立花さんやベえ"と思っているし、そういうモラルの話はしたほうがいい」と苦言を呈する。
立花氏は「切るものは切らないといけない。テレビを見ているような、いわゆる賢そうな人。"俺は賢いんだ"とか批判する人は完全に切り捨てる。ネットユーザーしか頼りにしていない。メンタリストのDaiGoさんが僕のことを分析してくれているが、18分のうち、冒頭の3分は必ずつかみでいかないといけない。そこで"コイツぶっ飛んでいるな。おかしなことを言うから見よう"と。発言も練りに練っていて、NHKの不祥事の中でもどれが食いつきがいいのか、3年かけて、YouTubeや街頭演説でチェックしてきた。"NHKをぶっ壊す!"というフレーズも、小泉純一郎さんが"自民党をぶっ壊す!"とおっしゃっていたのをパクっているだけで、実際は壊れるかどうかはどっちでもいいし、変えるつもりはない。ただ、"NHKに無関心な人には集金に来ないで"と言っているだけだ」と説明した。
■「NHKが必要だという人は洗脳されている」
そんな立花氏がNHKの放送の実態について「公共放送として本来やるべき福祉や教育、ストレートニュースは今の予算の10分の1もあればできる。しかし、そういうものにお金を使っていないし、職員の給料も下げればいい」と主張するのに対し、ふかわりょうが「紅白歌合戦などの国民的番組、NHKらしさもある…」と指摘。
すると立花氏は「ほ~、すごいなあ」と驚いたような表情を見せ「紅白という言葉が出てきて驚いた。まさに洗脳されている。国民が聴きたい歌や歌手というなだ、それこそ国民に聞くべきだ。しかし実際はチーフプロデューサー、エグゼクティブプロデューサーなどが高い喫茶店やお姉ちゃんの接待をいっぱい受けて勝手に"これが国民の聴きたい曲だ。歌手だ"とやっている。NHKの調査でも、45%が"NHKを全く見ない"回答している。見ない人にまでゴリ押しは止めてほしいと言っているだけだ。水や電気、電話がなかったら困るが、NHKの放送はなくても困らない。第一、アメリカですら公共放送はない。NHKがないといけないと思っている人たちは完全に洗脳されているか、テレビ局やNHKからお金をもらっているかで、それを既得権益という」と持論を展開した。
議論を終え、慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「支持している人たち全員が本当にNHKに困っているというよりは、めちゃくちゃ身近で知らない人はおらず、権威的で守られているNHKを壊せるぞという、ある種の期待感を煽られたのではないか。悔しいが、そういう設定が上手いと思った。共感もしないし、応援するつもりもないが、まるでゲームの実況を見ているようだ。次々に現れるシステムや敵を攻略していく、エンターテインメント的な"見やすさ"がある。そして、ネットの世界で人気を得続け、稼ぎ続けようとするのは無理があるし、行き詰まってる人も多い。そんな中で、出口を現実に作ったというところがすごいし、悔しい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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