「NHKから国民を守る党」の勢力拡大が止まらない。先月29日の丸山穂高議員の入党に続き、行政改革担当大臣などを歴任し現在無所属の渡辺喜美議員と新会派「みんなの党」を30日に結成した。会派を組むメリットについて、NHKから国民を守る党の立花孝志代表は「お互いに希望する委員会に入れる可能性があがること。質問時間が増えること」と説明。
「会派」とは、国会外で活動をともにする議員グループで、同じ政党に所属していなくても2人以上の国会議員が集まることで結成できる。会派を結成すれば、議員の数に応じて委員会の質問時間が割り当てられるほか、議員1人当たり年間780万円の立法事務費が支給されるなど、様々な優遇が受けられる。立花代表はNHKの問題を論じる総務委員会入りを目指している。
なぜ、立花代表はここまで自身の主張を貫けるのか。慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「民主主義の制度をハッキングしている」との見方を示す。
「選挙の仕組みや法律は所詮、人間が作ったシステムで、完璧ではない。立花氏はこのことをすごくよく勉強していて、逆手にとっているまさに“ハッカー”に見える。ハッキングはシステムの不完全なところや穴から狙うわけで、選挙や議員を排出する仕組みの“完璧ではない部分”を突いている。振る舞いやモラル観に批判が相次いでも、ルールに則って堂々と国会議員でいられるのは、ハッキングが成功している証拠。もうひとつ、クレイジーな正論を言う人は、一見発言の筋が通っていても『でも許せない』『むかつく』と人格面の評判を落としやすい。しかし、立花氏は自分の人格や評判を落とすことを気にしていないというか、一部の熱狂的なファンができればアンチがいても当選できる、民主主義というゲームのルールを攻略できることをわかっているんだと思う」
丸山議員の入党や渡辺議員との会派結成に若新氏は驚いたというが、N国や立花氏を決して応援しているわけではないと前置きした上で、「相手のメリットが何かをものすごく考えている」と指摘。「受信料を踏み倒してもいいというのは世間から見てネガティブなことだけど、投票した一部の人にはそれがメリットとしてわかりやすく感じられたのだろう。そういった“物々交換”への持って行き方が上手で、ルールを守っている以上、誰も止めることができないクレイジーな正しさがある」と立花代表の躍進を分析する。
また、それは「アンチのマイナス票が投じられない今の選挙制度」の上に成り立っているとし、「マイナス票を投じることができれば熱狂的なファンがいても下げられるけど、他の人に投票するか棄権するしか方法がないというのも立花氏はわかっているのだろう。アンチが増えると票が減るというのは、無難な政策を打ち出していたりマイルドなPRをしている場合に影響するのだろうが、簡単にはひっくりかえらない熱狂的なファンを長い時間かけて掴んでおけば問題なし。国もNHKも危機感を覚えるなら仕組みを変えていくしかないし、立花氏個人を攻撃しても彼はびくともしないのではないか」と述べた。
放送後に若新氏は、立花氏がここまで注目される理由について「政治家としての良し悪しは別として、残念ながらエンターテイナーとして面白い。NHKを権威的なものの象徴としてラスボスのように設定し、民主主義や選挙というもの制度を見事にハッキングすることでまるでゲーム化し、その攻略していくプロセスを面白おかしくみんなに見せている。まるで、ゲーム攻略の実況中継を見ているようだ」と独自の視点で考察した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)






