キックボクシングイベント『KNOCK OUT』が、8月18日に大田区総合体育館でビッグイベントを開催する。2代目プロデューサーに山口元気氏が就任、新体制での再出発となる大会だ。
旗揚げ戦で那須川天心がムエタイ王者をKOするなどインパクトを残したKNOCK OUTはキックボクシングの“メジャー化”を目指してきた。しかし現在はK-1だけでなくRISEも大会場に進出し、RIZINでキック部門が確立。海外ではONE Championshipでも立ち技戦線が充実している。
そうした状況で、新体制KNOCK OUTは大物選手を各団体・ジムから“借りてくる”だけでなく、自前のスターを育てることを重視するという。山口氏がプロデューサーとなったのも、ジムの会長職、イベント(REBELS)運営での育成手腕を買われてのことだ。
8.18大田区大会では小笠原瑛作、江幡塁が出場するトーナメントなど好カードが並んでいるが、その中で組まれた唯一の女子マッチがぱんちゃん璃奈vs祥子。RIZINを例に出すまでもなく、現在の格闘技イベントにおいて女子戦線の充実は大会の盛り上がり、ブランド力アップに大きく影響するだけに大事な一戦だ。
ぱんちゃんは雑誌のグラビアにも登場するなど注目の存在で“キューティーストライカー”のキャッチフレーズを持つ。親がAKB48の1期生オーディションに「勝手に応募」し、最終面接に残ったこともあるそうだ(本人が辞退)。
まだキャリアは浅く、話題先行と捉えられがちでもあるだろう。ただ“これから”の選手だからこそ新生KNOCK OUTとともに成長する姿を見せることもできる。彼女は育成というテーマを体現できる位置にいるのだ。本人も「こんなに私のことを推してもらっているので、KNOCK OUT女子エースにならないといけない」、「頑張って必死に喰らいつくしかないです」と語っている。
男子の強豪選手に混ざっての試合で「私の試合で盛り下がるんじゃなく、男子以上の声援がもらえるような試合がしたいです」とぱんちゃん。フィジカルトレーニングの成果で一発の威力が上がった手応えがある一方で「テクニックとアグレッシブさで勝負したい」とも。
「リーチを活かして、今までの女子にはいないタイプの選手になりたいです。テクニックを使って勝ちたいし、僅差の判定じゃなく明らかに勝敗が分かる形で勝ちたい」
女子ではガムシャラなラッシュで判定をもぎ取るスタイルの選手も多いが、ぱんちゃんはカウンターなどで鮮やかに倒す闘いを目指しているようだ。より強い相手と闘っていくためにも、試合内容を充実させたいと考えてもいる。4戦目、大舞台ということもあり「倒して勝たないと」とも。
何より、話題性ではなく実力で認められたいという思いが強い。かつては水泳、陸上に打ち込み、キックを始めてからは1年でアマチュアマッチを12試合敢行した。根っこは間違いなくアスリートなのだ。
「話題だけでなく本物の強さがほしい」
新生KNOCK OUTを背負う存在にまで成長できるか。成長を見続けていきたい新鋭だ。
文・橋本宗洋