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 8月16日の「ONE: DREAMS OF GOLD」。7カ月ぶりにONE Championshipに復帰した日本の朴光哲は、タン・リー(アメリカ)に1R・1分28秒KOで敗れた。

 対戦相手のタン・リー(アメリカ)は、ベトナム系アメリカ人でテコンドーの一族の出身。UFCの登竜門TUFやLFAなどで結果を残し、北米のトップ予備軍から、自らのルーツであるアジアへ進出するという新たな出世コースを選択したファイターの一人だ。33歳と経験値を重ね脂の乗り切った今、MMAファイターとしての名声を心から欲してONEに乗り込んできた。その一方、2連敗中で試合からも遠ざかっていた朴にとっては強豪との下馬評も高いリーに勝利することで、フェザー級での地位を確立し、タイトル戦線に復帰すべく臨んだ一戦だった。

 序盤、朴が距離を計りながらローを軸にプレッシャーをかけ、リーは相手をみながらサークリングして距離をうかがう。朴の右オーバーハンド、距離を詰めての左右のパンチにもリーは冷静に対処する。積極的に前に出る朴にリーの左のカウンターと右は、下がりながらかわすものの、追い打ちをかける強い左ハイ、ここは朴が反応しガード。

 リズムを整えながら再びローを狙う朴だが、リーとの距離は遠い。ここでリーが左のオーバーハンドを空振り、合わせた朴のカウンターも不発。リーの左ミドルが、右で合わせた朴に入って姿勢を崩すと、リーがすかさず右アゴを捉えた。後方に倒れた朴に右パウンドを振り下ろすと、レフェリーが試合を止めた。

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 この敗戦で朴は3連敗。当然ながら「崖っぷち」という言葉や年齢的な限界説も飛び交うことが予想されるが、朴は自らが築き上げてきた壁に真正面から向き合っている。ONEにいち早く注目し2012年、旗揚げ直後のONEに参戦し、初戦で初代ライト級王座を奪取。青木真也との激闘やエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)、クリスチャン・リー(シンガポール)など成長著しいアジアのトップ選手の前に立ちはだかってきた「ONEの門番」が、最終地点として取り組んでいるのが現在のフェザー級という階級だ。

 ONE Championshipのオフィシャルインタビューで朴は「出来るだけ長く戦い続けたいが、負けて引退するのと、世界王者で引退するのとでは全然違う」とタイトルへのこだわりを語っていた。まだ終わりではないのだ。

 2000年からK-1、修斗、HERO'S、DREAM、パンクラスと日本国内のトップ団体に次々と参戦。近年では山本"KID"徳郁と二人三脚で作り上げてきたジムKRAZY BEEの兄貴分として“KIDの遺志を継ぐ者”としての顔や、「格闘代理戦争」の名伯楽としてのイメージも強い朴だが、一人のファイターとしての探究心は尽きない。今回の敗戦でタイトルへの夢からは遠のくが、怪我からの復帰、連敗を乗り越えた先に、来年キャリア20周年を迎える42歳の集大成があるように思える。

(C)AbemaTV

▶映像/山本"KID"徳郁の遺志を継ぐ男・朴光哲、ONE復帰戦で壮絶に散る

崖っぷち42歳・朴光哲、壮絶に散る
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ONE Championship 2019 - 8.16 バンコク大会の全試合はコチラで
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