近年、世界的な注目を集めているものの一つに「昆虫食」がある。人口増加に伴う食糧難を救うかもしれないと、日本でも度々、話題に上るようになった。古くから「イナゴの佃煮」などは知られるところだが、その他はいわゆる「ゲテモノ」として敬遠されてきた。そんな中、19歳のタレント・井上咲楽は、なんと昆虫食だけで3泊4日を過ごすサバイバル生活をテレビ企画で体験。出演をきっかけに、さらに昆虫食について真剣に考えるようになったという。井上が目指すのは「肉、魚、野菜の次に昆虫」「自宅に家庭虫園を」だ。
井上が出演したのは、「陸海空 こんなところでヤバいバル」内の企画「虫の力だけで3泊4日離島一周ヤバいいね!の旅」。まさに文字そのままで、調味料を除く食料は昆虫のみ。Instagramの「いいね!」の数だけ昆虫が支給されるルールだった。サバイバル生活だけでも後ずさりする人も多い中、昆虫食限定という超絶企画にも関わらず、オーディション合格時は「すごくうれしかったです! みんな10年後には絶対に虫を食べていますっていうのを、スタッフの方にすごく訴えたんです」と、ノリノリで離島へと向かった。
井上と昆虫食の出会いは、別番組のロケだった。「長野県のアンテナショップに、ハチノコが売っていたんですよ。『こんなの食べんの!?』って本気で思っていたんですが、食べてみたらすごくクリーミーでおいしくて。それがきっかけです。自分は何かを食べる時、見た目でおいしいとか、おいしくないとか想像していたんだなと思いました」と、先入観にとらわれていたことを強く感じた。
それからというもの、ヘビに触れられるカフェでは「そこのメニューがほぼ昆虫食なんですよ」と、そのまま食べてみたり、爬虫類ペットショップで餌として売られているミルワームを買ってきては「揚げたり茹でたりして食べてます」。サバイバル生活中に食したセミは「素揚げがいいですね。セミは若干甲殻類っぽい味がしますが、ナッツみたいな甘さとクリーミーさがあります。虫独特の臭みもあまりないので、食べやすいと思います」と笑顔で紹介した。
番組出演をきっかけに入り込んだ昆虫食の世界だが、さらに自ら進んで調べたところ、未来の食糧難を救う可能性があることを知った。「(ロケ地の)伊豆大島でも、お世話になった島の方に『いかがですか?』ってすすめたんです。最初は『えー!?こんなの食べるの!?』って言うんですけど、ちょっと1匹食べてみたら『意外においしい!』って言ってくれる人が結構多くて」と、最初のハードルさえ越えられれば受け入れてもらえると実感した。また「いろいろ調べたら、人口がどんどん増えていく社会は、食糧難の時代が来ると。昆虫食はブタやウシより増やしていくのが簡単で、かつ栄養素がしっかりある。未来のある食べ物だし、理に適っているというか、時代に合っているか、そういうところも好きになりました」と、真剣に語った。
井上が興味を持ったアニメの一つに「ソウナンですか?」がある。女子高生4人が無人島に漂流し、悪戦苦闘しながら、昆虫をはじめ、さまざまな生き物を食べて生き抜いている姿が描かれている。「私もサバイバル中は、バッグの中に生きている虫を入れて歩いていたんですよ。だから、調理する時には目の前で死んじゃう。普段はシャケの切り身とか見ても食料としか見ていないですが、生き物を食べるっていうことはこういうことで、大切に食べないといけないなとも思いました」。人が、他の生き物の命によって生かされていることを、サバイバル生活だけでなくアニメでもより強く感じた。
いつになるかはわからないが、一つ思い描いている未来がある。それが「家庭虫園」だ。「家庭菜園ってあるじゃないですか。私はそのうち、1つの家庭に虫を飼う『家庭虫園』ができると思っているんです。家の一室が全部コオロギで、バーって飛んでるとか」と、その光景を想像してか、さすがに本人も笑った。ただ、その先は大真面目だ。「お母さんとかが、今日の夜ご飯食べるから、家庭菜園でトマト何個取ってきてみたいな感じで、ちょっとコオロギ50匹お願い、みたいに虫部屋から捕ってくる時代が来るかなと思っています。肉、魚、野菜、そういう中の一環として、普通になるものだと思っています」と、食品群の一角を担うと考えているという。
この「家庭虫園」の本気度、どれくらいのものか。最後に質問されると「家を建てるとしたら、虫部屋を作ってくれる人じゃないと、結婚しないです」と答えた。井上が思い描くように10年後、昆虫食がよりポピュラーになっていたら、そのイメージキャラクターの筆頭として、大活躍していることだろう。
(C)岡本健太郎・さがら梨々・講談社/ソウナンですか?製作委員会
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