「その(ファンがKOを望む)気持ちに応えすぎてはダメだと思っていた」
16日に行われた『RISE WORLD SERIES 2019 Final Round』のメインイベント、58キロ以下級トーナメント決勝戦で志朗を退け、世界一に輝いた那須川天心が試合後に控室でインタビューに応じ、本音を語った。痛快なKO劇を積み重ねてきた那須川だけに、ファンはその再現、さらに想像を上回るシーンを期待していたことは事実だろう。ただ、今回は違った。
試合前から拳を痛めていたことは既に知られているが、「試合の2、3週間前に拳を痛め、強く握ることができなかった。ずっと固定しながらやっていたけど痛みは和らがず、バンテージを巻けば何とかなると思っていたが、やはり無理だった。気合で何とかなると思っていたけど……逆に痛みが強くなってしまった。左が無理でも右がある。それでも僕は左を信じ切っている。良くも悪くも、それではダメ」と明かすも、本当の理由は別のところにあった。
「志朗選手が自分のことを研究して、僕も同じように研究して。終わってみれば濃密な3分3ラウンドだった。ただ思った以上に来てくれなかったというのはある」
そう切り出した那須川は続ける。
「KOを期待する気持ちに応えると、そこに志朗選手のワナがあると思って冷静でいることを心掛けた。志朗選手に対する声援も凄かった。あの声援を受けて出てくると思ったが、来なかった。最後まで自分の作戦に徹し、遂行してきたのだと思う。格闘家の青木真也さんが『スナイパー』と言っていたが、志朗選手はワールドシリーズを盛り上げようとも、自分のことをKOで倒そうとも思ってなかった。ポイントを取って、あわよくば延長まで行って、削って勝てばいいと思っていたはず。そこで自分が出て行って自爆したら相手の思うツボ。最近はジャイアント・キリングも流行っているので、それだけはさせないぞと(笑)」
最近になり聞く機会が増えた「世界に行く」という発言、さらに試合後のマイクでの発言については「武尊選手とやるためには色々なものをクリアしなければいけないと思う。ただ自分も時間がない。本来はやりたいと思ったらすぐにやれるはず。何がいけないのか? という疑問はある。後は向こうが決めること」と話すに止めた。
最後に志朗戦について「ただ、もう一個行きたかった」と本音を漏らすと「もっと頑張らないと。まだまだです」とさらなる飛躍を誓った。
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