先月、「名代富士そば」の新宿三光町店から衝撃的なメニューが発売された。そのメニューは「タピオカ漬け丼」。ご飯を埋め尽くすタピオカの見た目はまるで、イクラそのものといえる。試食をした“立ちそばガール”ことイトウエルマ氏は、全国を飛び回り年間300食を食すという立そばマニア。イトウ氏は「タピオカは富士そばの盛り蕎麦のつゆで漬けられている。つゆが冴えていれば、どんなものにも合うというのがタピオカにもマッチした」とその味を絶賛した。
一方、同メニューを開発した店長の羽生典史さんは「茹でてみると透明だったので、漬け込んで何かできないかと考えた時に、イクラが思い浮かんだ」と開発秘話を明かした。当初は1店舗限定での発売だったが、好評につき都内4店舗に拡大。発売期間も2週間延長の大ヒットとなっている。
このように店長が新商品を開発できるシステムを採用する同系列店の店長として、人生の再起を図る一人の男性がいる。東京・上野にある店舗で店長を務める佐久間輝さん(29)だ。1日あたりの客数約700人、売上36万円の店舗で、最年少店長として店を切り盛りする忙しい日々を送っている。そんな佐久間さんはタピオカ丼について「タピオカはどの店長も一度は考えていたはず。実際に行動に移した店長の一人勝ちだ」と悔しさを滲ませた。
佐久間さんがヒットメニューにこだわる理由は他にもある。22歳で大学を卒業後にお笑い芸人養成所に入所したが、鳴かず飛ばず。わずか1年で所属事務所との契約解除の挫折を味わった。当時を振り返って「タイムマシン3号、トータルテンボス、パンクブーブーが好きだった。あぁいう漫才師になりたいと思っていた」とこぼした。
23歳で芸人生活を諦めた後、25歳で妻・彩さん(29)との間に長男の奏(かなで)くんが誕生したことを機に、バイト先のそば屋の紹介を受けて26歳で富士そばに入社。新たに進んだ道で、奥さんと子どものためにも結果を残したい。その起爆剤と考えているのが、ライバル店を圧倒するヒット商品の開発なのだ。
「他の人と違うものを作らなければいけない。定番の物を出していたら飽きられてしまうという点では漫才に通ずるものがある」
新商品開発の難しさについて話すも、次男・心くん(1)に加え、彩さんのお腹の中には三人目の子どもの命が宿っており、一家の主として自宅でも厨房に立つ夫に妻は「下の子が生まれてから夕飯はほぼパパが作ってくれる。現在はつわりもあり、本当に頼もしい」と信頼を口にする。
「芸人では叶わなかったヒット作をそばで作る」
そんな佐久間さんが目をつけたのが豆乳。辛口ライターを相手にした試食会では好評を得るも、味と見た目に重きを置いたばかりに立ちはだかったワンコイン(500円)の壁。さらに本社営業係長の樺澤暢則さんからは「ふた工夫、さん工夫なければ商品にならない」と強烈ダメ出し。その後も試行錯誤を繰り返すこと3週間。最終ジャッジはお笑いタレントの千原ジュニアらが下すことになった。試食の結果、商品化が決定。まずは佐久間さんの店舗限定で、年内中の発売開始を目指すという。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』より)
(C)AbemaTV
【映像】1年で契約解除の元芸人、人生の再起なるか
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