「我々はまさに絶滅の淵にいます。それなのにあなたたちが議論しているのは金や経済成長というおとぎ話だけ。許せない」
23日、アメリカ・ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」に登壇した、スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん(16)。温暖化対策に対し、具体的な対策が進まないことへの苛立ちを露わにし、涙ながらに訴えた。
各国の首脳級が集まり地球温暖化対策の強化を話し合う今回のサミットの場で、日本は目標の上積みを発表できず安倍総理は呼ばれなかった。また、地球温暖化対策に懐疑的なアメリカのトランプ大統領は欠席するとみられていたが、サプライズで出席。しかし、演説することもなく十数分で退席した。
世界では“脱・炭素”の動きが進んでおり、「石炭火力」の完全撤廃をフランスは2021年までに、イギリスとイタリアは2025年までに達成する目標を掲げている。そうした中、サミットに登壇できなった日本について、国際環境NGO「350.org Japan」の横山隆美代表は「非常に残念。フランスやイギリスが全廃を掲げる中で、日本では建設中あるいは計画中の石炭火力発電所が22基ある。世界の潮流に逆行していると言わざるを得ない」と指摘。
また、「日本は今年の6月に気候変動対策の長期戦略を発表していて、それからまだ3カ月。戦略と違うことを言うわけにはいかない、ここで簡単に目標を上積みするわけにはいかないというのが現状だったと思う」との見方を示す。
同サミットに出席するためニューヨークを訪れた小泉進次郎環境大臣は22日、気候変動問題について「このような大きな問題に取り組むことは、楽しくやるべきです。クールに、“セクシー”にやるべきなんです」と発言し、一部の海外メディアから注目を集めている。一方、石炭脱却への取り組みについては具体策を示せず、ロイター通信は「中身がない」と日本の温暖化対策に疑いの目を向けた。
小泉大臣の外交デビューに横山氏は、「『10日前に日本の環境大臣になったばかり』と挨拶して大きな拍手が起こったが、その裏には日本の大臣らしくない若い人が就任したという世界からの期待があるのでは。小泉大臣は非常に若いので、若い人の意見を集約して大きな政策転換をしてくれるチャンスが来ていると考えている」と期待を寄せる。
一方、世界で5番目のCO2排出国(2016年、全国地球温暖化防止活動推進センターより)である日本の現状については、「CO2を多く排出している国が何も上積みできなかったということで、これからかなり非難される可能性がある」と懸念を示した。
脱・炭素が進む中、化石燃料産業への投資を撤退する「ダイベストメント」の動きもある。具体的には石炭・石油などの火力発電事業を含む化石燃料関連企業への投融資を打ち切る運動のことで、世界では1110以上の機関が実施し、その運用資産総額は11兆米ドルを突破(11日付で約1185兆2555億円)したという。一方、石炭火力発電への融資では、日本の銀行が世界1位、2位、4位と上位を占めている。
この運動について横山氏は「かつては、南アフリカのアパルトヘイトや米国を中心としたたばこ産業に対する金融側からの圧力ということで、かなり成功をおさめている戦略。諸外国では銀行や保険会社、年金ファンドなどが化石燃料に関わる会社から投資を撤退している。日本でもここに来てメガバンクが石炭火力から撤退するといった宣言を始めているが、条件が付いているなど完全撤退とは異なると思う」と説明した。
では、今後日本はどうするべきなのか。そもそも日本人は環境問題に対する意識が低いのだろうか。横山氏は「20日の温暖化対策を訴えるデモに世界で400万人以上が参加したが、日本は全国で5000人という規模。政治への関わり方、温暖化に対する意識の違いがある」とした上で、「このままでは地球環境が維持できないと国民が声を上げることが大事だと思う。日本では水俣病や四日市の大気汚染といった公害があったが、それを克服してきたという自信がある。加えて、ハイブリッドカーを世界に先駆けて取り組んできて、国民の中に『日本の温暖化対策は進んでいる』という意識があるのではないか」と指摘。
一方、政治家に求められる役割については「エネルギーの基本戦略を見直す必要があると思う。十数年前までは、太陽光パネルの製造業者のトップ10に日本の企業3社が入っていたが、今は入っていない。政府が音頭を取ると国内需要が高まるので、そこに投資をしやすくなるという好循環ができると思う。国民が声を上げて政策を変えていく必要がある」との考えを示した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
▶【映像】グレタ・トゥーンベリさん涙の訴え
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏