2018年に開幕したMリーグ。「Mリーグも激動だったんですけど、私生活でも非常に濃い1年でしたね」と朝倉康心(最高位戦)は平成最後の年を総括した。登録ID数約515万人(2019年9月現在)を誇るオンライン麻雀ゲーム「天鳳(てんほう)」で、最高峰に登りつめた者だけに与えられる天鳳位を2度獲得。ネット麻雀の雄と言われた男は、Mリーグでもその実力を発揮した。
U-NEXT Piratesはレギュラーシーズンの序盤こそ、順調にポイントを積み上げて先行していたが、中盤あたりからポイントを減らし、終わってみればチームは5位でファイナル進出を逃した。
朝倉自身は+178.8で個人スコア21人中4位とチーム内では唯一のプラスポイントを残したが、決して満足はしていない。チームメンバーのトップ率が21人中、朝倉10位、石橋伸洋(最高位戦)19位、小林剛20位と低かったからだ。「他のチームが安定よりもトップ率に焦点を置く打ち方がかなり多く、3万点台の小さめのトップを守りきれない展開が多かった」と、チームとしての課題を明確に認識している。
したがって今期は、2着、3着キープを目指すより、トップに比重を置いて打つ。「周りがトップを目指してくるようであれば、若干巡目に余裕があるので、今までよりはトップを目指してみてもいいのかなと。逆に自分がトップ目の時に、満貫条件、跳満条件が残ると簡単に(トップを)目指されてしまうので、小さいリードで守りに入るよりも、もう少しリードを広げるような選択を取っていく」という戦略を想定している。
シーズンオフの間、所属団体のトップリーグで戦いながら、7月にはMリーグ2018をベースとした戦術書「麻雀の失敗学 (近代麻雀戦術シリーズ) 」を発売。さらに8月にはかねてからお付き合いしていた一般女性の方と結婚式を挙げた。「とにかく麻雀を打つ時は麻雀に一所懸命。家庭に戻れば、家庭のことに一生懸命」と公私ともに充実した時間を過ごして来た。
「目標はMVP。今年は昨年以上に本気でMVPを狙っていきたい。それがチームへの貢献につながる」と堂々のMVP宣言。U-NEXT Piratesの開幕戦は9月30日。デジタル雀士、朝倉の熱き戦いぶりに刮目だ。【福山純生(雀聖アワー)】
◆朝倉康心(あさくら・こうしん)1986年3月4日、福井県生まれ。A型。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。主な獲得タイトルは初代・11代天鳳位、第4期天鳳名人位、天鳳位vs連盟プロ1st season優勝、第1回麻雀駅伝2017チーム優勝(3人打ち区間賞)他。著書は「麻雀の失敗学 」。
◆Mリーグ 2018年に発足。同年10月から7チームによるリーグ戦を行い、初代王者の赤坂ドリブンズが優勝賞金5000万円を獲得した。2019シーズンから新たにKADOKAWAサクラナイツが加入し、全8チームによるリーグ戦に。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合を行う。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。