もうS級ミスはしない　白鳥翔、屈辱の個人最下位からフライ・ハイ／麻雀・Mリーグ

　プロ麻雀リーグ「Mリーグ」以外での活躍を知る者からすれば、渋谷ABEMAS・白鳥翔（連盟）の成績が、想定外と感じるケースも少なくないだろう。それだけMリーガーとしての白鳥は、飛べなかった。「何より自分に対して、がっかりした。情けないなと思った1年でした」と、屈辱の日々を振り返った。未体験の大規模リーグ戦、しかも不慣れなチーム戦。悪い意味で「全てが噛み合った」ことで、残された結果は個人21人での最下位。9月30日に迎える2019シーズンの開幕。白鳥はもう上に向かって飛ぶだけだ。

　今振り返っても、おおよそいつもの自分でなかったことはよくわかる。「いわゆる“目が上がる”状態だったんです。（試合後に）『なんであれ打ったの？』と言われて、『こうだから打ちました』と言った後、『だって、こうだったじゃん』と。で、『あ…』みたいな」。卓に向かって集中しているはずが、見るべきところをまるで見ていない。そんな状態だった。「ヤバいでしょってS級ミスみたいなものを、短期間の中でやってしまっていて。そういうミスをやっても、直結しないことが多いのが麻雀ですが、今回はそれが見事に直結して、自分の失点にもつながってしまいました」と、運で救われることも許されず、自由に舞う翼をもがれた。

　思い出したくないような過去があっても、戦い続けてこられたのは、チームメイトの存在があったからだ。昨年は先輩である多井隆晴（RMU）、後輩である松本吉弘（協会）と3人で肩を組みながら、前に進み続けた。「僕は仕事上の振る舞いっていうものが、あんまりできないというか、好きじゃないというか。だから本当に仲良くなりたいなと思っていたんです。強い部分や弱い部分、いい部分といやな部分、全部ひっくるめてもいい部分や好きな部分の方が確実に上回っている2人で、めちゃめちゃ信用している」と、ともに過ごした日々による結束は、実に強い。ここに紅一点の日向藍子（最高位戦）が加入し、「足りなかったのはこいつだったんだ！というくらい、こんなにフィットできる人がいるんだと思いました」と、開幕前からさらに絆を強めている。

　どん底を見たことで、最悪のメンタル状況を自ら把握することはできた。頼れる仲間とは、オフ期間でもしっかりと会話し、さらに戦いへの準備も整えた。トレードマークの金髪は「そろそろ歳だし、黒にしようと思ったんですけどね。でも、こんな人でも麻雀プロなんだっていう取っ掛かりになってくれればいいし、お子さんにすごく覚えられるんで（笑）」。今年は“金髪で麻雀が強いお兄さん”が、自由に激闘のリーグを高く高く飛び回る。

◆白鳥翔（しらとり・しょう）1986年8月27日、東京都生まれ。A型。日本プロ麻雀連盟所属。主な獲得タイトルは第24・25期麻雀マスターズ、第18回モンド杯、第一回麻雀プロ団体日本一決定戦、麻雀最強戦2019男子プロ代表決定戦・悪魔の逆襲他。著書は「トッププロが教える最強の麻雀押し引き理論」。

◆Mリーグ　2018年に発足。同年10月から7チームによるリーグ戦を行い、初代王者の赤坂ドリブンズが優勝賞金5000万円を獲得した。2019シーズンから新たにKADOKAWAサクラナイツが加入し、全8チームによるリーグ戦に。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合を行う。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。