敵として戦い、強さを知っているから、より頼もしい。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の人気女性選手、EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)は、チームメイトにそんな思いを持っている。勝又健志、滝沢和典も、ともに同じ日本プロ麻雀連盟所属。Mリーグではチームを組み、挑戦を目指して戦う仲間だが、個人としては「ライバルなんですよ」。切磋琢磨し続けることが、まもなく開幕するMリーグの2019シーズンを制する近道だと確信している。
昨年は、レギュラーシーズンで二階堂・勝又・滝沢と、3人そろって驚異的なラス回避率を誇り、守備的な戦いの中でも確実にポイントを積み重ねた。結果、2位の渋谷ABEMASに97.1ポイント差をつけて、首位通過。安定感抜群でファイナルシリーズに乗り込んだが、赤坂ドリブンズの猛攻にあい、準優勝で1年目を終えた。「ドリブンズの勢いがヤバすぎて、止められなかったですね。どのチームも優勝を目指す中、渋谷ABEMASとKONAMI麻雀格闘倶楽部が前に出てきたところを、かっさらわれた感じ」と、ギリギリの4位通過から逆転劇を演じた赤坂ドリブンズへの印象は、明確に覚えている。
人気選手ゆえに、数多くの取材もこなす二階堂だが、実は昨年のこの時期、インタビューで質問された内容を、全く覚えていないという。「ものすごく緊張していたんでしょうね(笑)インタビューを受けたことは覚えているんですが、何聞かれたとか、何を答えたとか覚えていなくて。頭真っ白になっていたんですよ」。長年人気選手として、麻雀界を引っ張ってきた二階堂でさえ、そんな状況になるのがMリーグ。今年は、昨年ほど緊張はしないまでも、徐々に気持ちは高まりつつある。
今年も同じ3人体制で戦うEX風林火山。半年間、戦い続けた後のことを聞くと「これまたすごく独特な感じで、Mリーグを離れると、やっぱり敵なんですよ」と笑った。「敵というか、ライバルですかね。勝又プロは(連盟・鳳凰戦の)A1で、自分がA2。昇級したら戦う相手。滝沢プロも昇級してきたら戦うし、何年も同じリーグで戦ってきましたから。ライバルとして一緒に麻雀を打っている時は、普段の仲の良さは全然関係ないですからね」と、しのぎを削っている。「『負けろ!』『打て!』『つかめ!』とか思いますからね(笑)これまた不思議なもんで。でもそこは回数を重ねるごとに、気持ちを切り替えられるようになりましたね」と、赤いユニフォームを着たら、そこからはガラリとEX風林火山の一員となる。
目指すものはもちろん優勝。先日、3人揃って滝に打たれ、気合を入れ直した様子がTwitterでも公開された。次に二階堂が浴びたいのは、冷たい滝の流れではなく、勝利の美酒だ。
◆二階堂亜樹(にかいどう・あき)1981年11月15日、神奈川県生まれ。O型。日本プロ麻雀連盟所属。主な獲得タイトルは第3期プロクイーン、第3回モンド21王座決定戦、第2・3期女流桜花、麻雀最強戦2014女流プロ代表決定戦、第14回女流モンド杯、麻雀最強戦2017女流プロ代表決定戦、女流プロ麻雀日本シリーズ2017他多数。著書は「二階堂亜樹の勝てる麻雀の基本」「明日は、今日より強くなる 女流雀士二階堂姉妹の流儀」(二階堂瑠美プロとの共著)他。
◆Mリーグ 2018年に発足。同年10月から7チームによるリーグ戦を行い、初代王者の赤坂ドリブンズが優勝賞金5000万円を獲得した。2019シーズンから新たにKADOKAWAサクラナイツが加入し、全8チームによるリーグ戦に。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合を行う。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。





