ブルーシート内のスマホ撮影にJR東日本が異例の"モラル"呼びかけ…なぜ人身事故を撮影&SNS投稿?
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 2日夜、JR新宿駅で47歳の男性が進入してきた山手線の電車に接触し、搬送先の病院で亡くなった人身事故。帰宅ラッシュに重なったため、約1時間後の運転再開までに、4万人に影響が出たという。男性は全盲で白杖を手にしており、自ら線路に降りたという目撃情報もあるため、警視庁では自殺を図った可能性もあるとみて調べている。

 問題が起こったのは事故の直後、救出活動が始まった後だった。複数の野次馬が、救助活動の様子が人目に触れないように覆われたブルーシートの内側にスマホを差し込み、男性の様子などを撮影しようとしたというのだ。JR東日本によれば、このとき駅員が「スマホでの撮影はご遠慮ください。モラルを守った行動をお願いします」などと注意を繰り返したという。

 このニュースに対し、ネット上には「普通に人としてやばいよ」といった批判の声もある。4月に起きた池袋の暴走事故の直後や実況見分では、周囲の人たちがスマホをかざして撮影している様子がニュース映像に収められている。

 他方、「モラルが落ちたとは思わない。以前は誰もポケットにスマホを持っていなかっただけ」「マスコミの姿の模倣だと思う。そのうち“我々には知る権利がある”とか言い出しそう」といった意見も見られた。実際、去年10月、電車内で盗撮をしようとしたところを見つかった男が線路に降りて逃走する様子を乗客が撮影、それらをメディアが入手、編集して使用するなど、一般人が撮影したものが証拠や報道資料となる場合も珍しくない。

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 4日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演したお笑いコンビ・パンサーの向井慧は「僕もテレビに出させてもらっているので、街中でカメラを向けられることへの"嫌さ"があるが、芸能人がいたら撮っちゃうだろうなという気持ちも分かる。それでも今回のような行為は全く理解できない。そこで撮った写真をSNSでバズらせたい、注目されたいということだとしたら、なんて悲しいことだろう」とコメント。元経産キャリアの宇佐美典也氏も「このようなモラルに反する行為を注意する人が誰一人いなかったとしたら、とてもショックなことだ。本来、JR側が呼びかけることではなかったと思う。そして、今回は極端なケースなので皆がおかしいと感じただろうが、妊婦さんの前で平然と優先席に座っている若者はたくさんいる。昔だったら注意する"カミナリ親父"みたいな人がたくさんいたのだろうが、そういうことも注意しにくくなった末に今回のようなことが起きているのだと思う」と指摘した。

 また、「ウツワ」代表のハヤカワ五味氏は「"昔はスマホがなかっただけ"という意見も分からなくはない。昔から火事の現場には人だかりができていた」、紗倉まなも「喧嘩が起きていると見てしまうし、刺激の強いものに興味を惹かれるということは理解できる。かといって現場の写真を撮るかと言われたら、それは違うなとも思う。そして、面白がって拡散する人がいるからこそ、画像をアップする人も出てくるということもあると思う」との見方を示した。

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 作家の乙武洋匡氏は「モラルに関して言えば、若い世代を見ていると、人の話を聞きながらスマホをいじっていることがよくある。我々の世代だと、それはマナー違反だと考えている人も多いと思うが、実は分からない言葉が出てきた時に"それどういう意味ですか"と尋ねて話を止めてしまうより、ササっと調べてしまった方がお互いにとって良いから、と思っていたりする。だから相手がなぜそのような行動を取るのか、意図を聞いた上で擦り合わせをしていくとも重要ではないか。また、"マスコミだって同じようなことやってるじゃん"という点については、大きな事件・事故が起こった時、マスコミは被害者の遺族の方のコメントを無理矢理取りに行くことがある。あれだって、我々には伝える義務があると思うからやっているが、"ありえないでしょ"と感じる人もいる。報道に関しては、どこまでがアリで、どこまでがナシなのか、線引きが本当に難しい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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「注意する人はいなかったのか」
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 駅員「モラル問う」客に注意
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