若者はSNSで情報収集する時代に 食べログ問題と揺らぐ口コミ・レビューサイトの信頼低下
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 カカクコムが運営する口コミサイト「食べログ」に疑惑の声が広がっている。多くの人が利用経験のあるサービスで、一体何が起きているのだろうか。

 発端は飲食店関係者とみられるTwitterアカウントからの「うちの店、評価が3.8になって喜んでたら、次の日急に、クチコミ数は変わってないのに評価だけ3.6に下がってた。そしたら、食べログからきて、年会費払えば元に戻すし、評価上げるって言われた。もちろん断った」という投稿だった。食べログの評価システムは「食べ歩き経験豊富なユーザーの影響が大きくなる」「投稿を繰り返しているユーザーについて様々な要素をもとに影響度を設定」「評価件数が多い方が点数は高い」となっているが、具体的な算出方法自体は非公開だ。一方、飲食店が有料会員になることで情報が優先的に表示されるといった特典が提供されているが、これも評価の上下とは無関係だとされている。

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 しかし今回のツイートはそれを否定した格好になっており、「有料掲載分と同じ金額を毎月払うから食べログから消してくれ。と逆提案しましたが、それから音信不通になりました」とも明かしている。その後、同様の経験を告白するツイートがいくつも投稿され、公正取引委員会も食べログを含む複数のサイトへ調査を示唆した。こうした状況を受け、食べログは10日、「有料サービスを含む食べログとの何らかのお取引によって、お店の点数やランキングが変動するということは一切ございません」と、疑惑を完全否定するコメントを出している。

■システムで稼ごうとする中間業者の存在も

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 同日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した中華そば「矢野家」の矢野孝二郎さん「田舎で小さな店。口コミサイトは使いたい店だけ使ってくれればいいので、悪い口コミを消したいというよりもページごと消してほしい」と訴えてきた。「食べログの"代理店"と言われる方とやり取りをして、"消せないんですか?"と尋ねた。そうすると"日本には言論の自由があるから消すことはできません"と。そして後日、"食べログの会員になりませんか?そうしたらお店の情報も検索上位に出せるし、マイナスの情報を下に下げるか、消すこともできますが、どうしますか?"と言われた。なんだそれ、と思ったので断った」

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 ふかわりょうが「お店のURLを送るときに、点数が低いと気まずくなるのではないかと考えてしまう」、『東洋経済』の山田俊浩編集長も「僕の一番好きな蕎麦屋は、料理は絶品なのに、お茶を出さないということで低評価のレビューが付き、2点台だ」と話すと、慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「食べログのようなシステムは、多くのレビューが蓄積されなければ意味がないので、地方では全く当てにならないケースが多い。そこはやはり不完全なところがあるということをわかって使うべきだし、地元の人に聞くのが一番だ。また、誰もが認めるほど美味ければ、アルゴリズムが変わっても評価する人はいっぱいいる、改ざんも簡単にはできない。つまり、点数が非常に高い店は信頼がおけるということだ。しかし、そうでない点数のお店の中には、代理店に頼んで何とか良くしようと考えているところもあるだろうし、最終的には自分で判断するしかない。そして評価がついていない、コメントがあまりない店には皆が行かないとなると、立ち上げたばかりの店や、書き込みをしないでほしいと思っている店は困ってしまうだろう。これは美味しいかどうかとは関係がないし、情報がないから行かないというユーザーの足を遠ざけている可能性をシステム側が考慮すべきだ」と指摘した。

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 一方、飲食店コンサルタントの川崎理明氏は「オフィシャルサイトで説明している通り、食べログ側は一切不正な操作はしていないというのが我々コンサルタントの間での共通見解だ。今年の5月21日にアルゴリズムが変更され、今まで3.5だったお店が3.0になったり、逆に3.0だったのが3.6くらいまで上ったりするなど、色々なお店が出てきた。その中でアルゴリズムの変更が続いていて、今回の事件が起こったと思っている」との見方を示す。

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 クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏も「間に入って"あなたのお店を良くしますよ"という楽な儲け方をしようとした代理店がいるのではないか」と推測する。「食べログというプラットフォームを使って上手く金儲けをしようとしている奴らがいたということだ。こういう人たちは商売を長続きさせようとか、信頼を獲得して、という気はなく、短期的に儲けて良くない噂が出たら別のプラットフォームに行こうという考え方だ。食べログ側では関知できない問題だし、アルゴリズムの変更も、そういう中間業者の動きからプラットフォームを守ろうとしていたのだと思う」と話した。

■「若い女の子はインスタで調べる」口コミサイトそのものへの信頼性が低下?

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 口コミサイトの信頼が揺らいでいる背景には、店舗側や利用者側にも原因があるのではないかという疑問。整体院で働くAさん(20代)は「レビューで"星5"にしてくれたら、3000円分のチケットをプレゼントしている」と明かす。お金で評価を買っているということにはならないかと尋ねると、「そういうことになるかもしれないが、ほとんどのお客さんは"ありがとうございます"くらいの気持ちで帰っていく」とした上で、「あんまり口コミの存在意義がないなと感じる」と答えた。

 実際、ネットユーザーからは「レビューを買う店・売る客がいるとの情報もあるし、匿名は信用できない」「Googleマップのレビューなど複数のサービスを併用している」「SNSなどの情報を頼る」といった傾向も出てきている。また、商品の"サクラレビュー"を検知する「サクラチェッカー」というサービスでは、Amazonの製品URLから怪しい日本語レビューや工作員(ライバル会社)レビューなど、6項目をAIが判定、"サクラ度"を0~99%で教えてくれる。

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 三浦氏は「今、若い女の子の多くはグーグルではなくインスタで検索する。ニュースもツイッターで検索する。全ての情報が信用できるかといえばそうではないということに気付き始めたんだと思う。また、今は発信文化だから“どこどこに行った”と言いたい。俺だけが知っている俺のおいしい店に行ってもあまり意味がなくて、みんなに人気のあの店に行ったと言いたい。褒められたい、ドヤ顔したい気持ちが濁らせている。普通の人が言っていることはちょっと怪しい、店が言っていることも信用できないとなると、むしろ専門家や知人なら信用できるのではないかということになってくる。僕はCMをたくさん作ってきたが、メディアから流れている情報は、テレビであれ、ラジオであれ、ネットであれ、誰かのなんらかの意思によって強調されているものだから、ディスプレイ越しに見たものには、一定以上の距離を持つというのが、本来の人間のあり方だと思う」とコメント。

 川崎さんも「グルメサイトのレビューからのお客様が段々少なくなってきていて、好きなインフルエンサーさんのインスタの投稿を見て、"この人がオススメしているから行ってみたい"というふうに変わっていっている気がする。ユーザーには、この人の表現が好き、お店の紹介の仕方に信憑性があるという部分で判断して欲しい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:食べログ3.8問題は 口コミサイトの限界を象徴?(期間限定)

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