ラグビー日本代表、“屈辱と涙”の30年史 憧れの日本代表が「公開処刑された日」
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 日本で行われているラグビーW杯日本大会で史上初となる8強入りを果たすも、20日の準々決勝で世界ランキング4位の南アフリカに「3-26」で敗戦。4強進出という新たな歴史を作ることは叶わなかった日本代表(同6位)。しかし、多くのインパクトを残した日本代表の快進撃を受け、元ラグビー日本代表で現役最年長記録を持つ伊藤剛臣氏が、ラグビーW杯にまつわる日本代表「屈辱と涙の30年」を振り返った。

 1987年に第1回大会が開催されたラグビーW杯だが、当時高校1年生だった伊藤氏は時を同じくしてラグビーを始めることになる。招待されて出場した日本代表は全敗だったが、当時絶大な人気を誇ったTBSのスポ魂ドラマ『スクールウォーズ』などの影響もあり、競技人口は最も多い時期だったという。

 しかし現実は厳しい。1991年のW杯ではジンバブエを相手に「52-8」で悲願の1勝を挙げたものの、続く1995年大会では“オールブラックス”の愛称で知られるニュージーランド代表を相手に、前後半で合計21個のトライを奪われ「17-145」という歴史的惨敗を喫してしまう。

「あまりのショックに、テレビで試合を観戦した後に洗面所で嘔吐しました」

 伊藤氏のエピソードも衝撃的だが、ラグビーファンにとってはそれほどショックが大きく、さらに伊藤氏は「憧れの日本代表が、世界に向けて公開処刑されてしまったんです」と当時の悔しさを語った。

 ラグビーW杯の最多失点という不名誉な記録により、「日本のラグビーは弱い」といった評価が世界で定着した翌年、1996年に伊藤氏は初めてラグビー日本代表に選出された。その後、日本ラグビーのプライドを取り戻す戦いを協会と選手が一丸になって開始する。伊藤氏自身も1999年にウェールズで行われたW杯、さらに2003年のオーストラリアで行われたW杯に日本代表として出場を果たしている。いずれも白星を挙げることはできなかったというが、2003年大会、スコットランドやフランスとの対戦において「我々、日本代表は頭からタックルで突き刺さっていったんです」と伊藤氏。その勇猛果敢な姿勢が、世界の評価を変えるきっかけとなった。

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■チェリー・ブロッサムズから「ブレーブ・ブロッサムズ」へ

 それまでの日本代表の愛称は、桜のエンブレムのついたユニフォームを着用していることから「チェリー・ブロッサムズ」だった。しかし、そのW杯を境に、世界のメディアから「ブレーブ・ブロッサムズ」と呼ばれるようになったという。

 そうしてプライドを徐々に取り戻していったラグビー日本代表だが、1995年から2011年までの5大会において、白星を挙げることはできていない(カナダとの2度の引き分け以外はすべて黒星)。「だから私は真っ黒です」と自身が経験したラグビー暗黒時代について自虐的に話した伊藤氏だが、2015年にイングランドで行われたW杯で、後輩たちが暗黒時代の長いトンネルを抜ける歴史的1勝を挙げることになる。それが、“ブライトンの奇跡”と称される当時世界3位の南アフリカを破った一戦である。

「まぁ、(南アフリカは)ナメてたと思いますよ。ただ日本はエディ・ジョーンズというW杯で準優勝を果たしていた名将を連れてきて、世界一の練習量を積んだ。それが実ったんです」

 そのように勝因を語った伊藤氏だが、それまでの日本代表との違いについては「僕たちも世界のシッポは掴んでいた。でも、後半20分からのラスト20分で突き放された。その“ラスト20分の壁”を越えてくれた」と評して「勝利を確認して大号泣しました」と豪快に笑った。

 一部報道もあったが、南アフリカとの一戦が行われた昨日20日は、日本ラグビー界のレジェンドである平尾誠二氏の命日だった。「私の神戸製鋼時代の先輩だった。日本代表の選手としても、監督としても、ラグビー界を牽引してくれたスーパースターです」と話した伊藤氏は「今大会が開幕した9月20日には、そんな平尾さんのお孫さんが生まれました。何かの縁を感じますよね」としみじみ語る。

 今大会、南アフリカとの一戦では克服したはずの“ラスト20分の壁”に阻まれ、後半に21失点を喫した。2019年W杯の日本代表の闘いは終わったが、新たな歴史を作った「ブレーブ・ブロッサムズ」の闘いはこれからも続いていく。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』より)

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「夢のラグビー日本代表が公開処刑されてしまった...」伊藤剛臣が”屈辱と涙”の30年史を語る | 動画視聴は【Abemaビデオ(AbemaTV)】
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