「白い粉・注射器などのイメージカットは用いるな」…薬物依存の当事者を苦しませない事件報道の形とは?
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 「“白い粉”“注射器”などのイメージカットは用いるな」ー。著名人による薬物事案が数多く報じられる昨今。3年前に結成された「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」では、マスメディアが報道する上での留意点をまとめた「薬物報道ガイドライン」を提示している。

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 同団体の発起人で、自身も重度のギャンブル依存症だった田中紀子氏は「2016年に有名人の逮捕が続く中、高知東生さんが“捕まえてくれてありがとう。これでやめられると思った”という発言は、私たちにとっては理解できる話。それがメディアでものすごくバッシングされた。そこで依存症の支援者などが連携、団結、さらに薬物報道のあり方についてのガイドラインを作っていこうと、評論家の荻上チキさんが呼びかけてくれたことでできた。確かに薬物に手を出してしまったことは良くないが、“犯罪者”ということがあまりに強調されすぎている。犯罪と回復というのは難しいバランスではあるが、むしろ逮捕をきっかけとして回復の道につながるような報道をしてほしい」と話す。

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 薬物依存症の問題に詳しい筑波大学の原田隆之教授は「やはり注射器や白い粉を見てしまうことは一番の引き金になる。やめようと思っていても、脳の奥の方のスイッチが押されてしまって、意思とは別に動いてしまうことに直結する。“警察24時”みたいな番組の映像で映った粉で心がざわざわするということもよくあること。薬物依存から立ち直ろうとしている人は、こういうニュースにすごく興味を持つし、今、患者さんたちの間ではこのニュースで持ち切りだろう。また、田代さんの映像についても、連行される様子は本人の尊厳にダメージを与えることになるし、回復に対しても妨げになるので控えてほしいと思う。やはり現段階では被疑者の段階だし、犯罪者であっても人権は守られなければならないもの。そこは配慮が必要だ」と話す。

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 さらに原田氏は「日本は諸外国に比べて圧倒的に薬物ユーザーが少ない。つまり、予防という観点ではとてもうまくいっている国だ。一方で、おどろおどろしいメッセージばかりが伝えられることで、依存症の人たちがバッシングされる土壌になってしまっている点は改めないといけないと思う。理念的なものも大事だが、科学的なエビデンスの点も重視してほしい。それは教育の現場においてもそうだ。アメリカの場合、州によっては小学生くらいから“どのようにして誘惑を断るのか”、あるいは“落ち込んだ時、どうやって気持ちを紛らわせるのか。友達にどうやって悩みを相談するのか”という話をする。こうしたスキルは薬物の問題だけではなく、メンタルヘルスの問題において非常に有効だ。日本も、保健体育や課外授業のときに皆でワークショップみたいな形でやるのも有効だ」と訴えていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:原田氏、田中氏を交えた議論の様子

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