K-1のエース・武尊が3月以来のリング復帰を果たした。拳の負傷で長期欠場となっていたが、8カ月ぶりの試合に向け「前より強くなった姿を見せる」と意気込む。その舞台は11月24日の横浜アリーナ大会。K-1を牽引する存在として、ビッグマッチにこの男は欠かせない。
手術を経ての復帰戦、武尊はノンタイトルとはいえ強豪を迎え撃つことになった。前K-1フェザー級王者の村越優汰だ。武尊との対戦を狙ってRISEからK-1に戦場を移した村越は、トーナメントを制してチャンピオンになると卜部弘崇を下し防衛成功。そして階級をスーパー・フェザー級に上げ、武尊戦を実現させた。
試合運びに長けた村越は武尊を完封すると宣言。「倒して勝つのがK-1」が信条の武尊とは対極だ。序盤から圧力をかけKOを狙う武尊。対する村越は下がりながらジャブと蹴りで武尊を削りにかかる。村越の技巧もやはり一級品だ。だが、どんな相手であろうと前に出て攻めるのが武尊。ヒザ、ボディブローから顔面へとつなげ、しだいに武尊が優勢に。
最終3ラウンドは村越も攻撃のテンポを上げ、パンチをヒットしていく。主導権を奪われたかに見えた武尊だが、試合終了間際にエースの実力を爆発させた。ねじ伏せるようなラッシュでたたみかけると、村越は棒立ちに。ダウン寸前に追い込まれながら踏みとどまった村越だったが、判定は2-0で武尊。苦しみながらも相手を振り切り、復帰戦を勝利で飾った。
判定が出る前、中継の解説を担当した魔裟斗氏は「延長が見たい」とコメント。それだけ競った内容の好勝負だった。一方、村越は「武尊選手の爆発力が最後まで止まらなかった」と素直に相手を称えている。判定については「ああだこうだ言ってもカッコ悪いだけ。負けは認めます」。ただ2-0と僅差だったことに手応えを感じたようだ。
KOを逃し笑顔は見せなかった武尊。しかし観客に「来年はオリンピックがありますけど、格闘技もオリンピックに負けない大会やりましょうよ。みんなが望んでる試合をやります。ついてきてくれる人を裏切らないので」とあらためてアピールした。
試合については、復帰戦だったことや拳以外のケガも含め「自分の調整具合に課題が残りました」と武尊。逆に言えば、彼自身も2020年の“完璧な武尊”に期待を抱いている。K-1のエース、そのモチベーションに衰えはない。