「我慢して我慢して、このために麻雀を打っている」とは、大和証券Mリーグ2019・11月26日の1回戦で4勝目を挙げたKONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)の言葉だ。
この日の前原は、南1局の親番で跳満2回、満貫1回とすべてツモアガリ、7万5800点の大トップを取った。+95.8ポイントを積み上げる剛腕ぶりで、チームの最下位脱出に貢献した。
試合後の勝利者インタビューで親番の連荘について聞かれると「快感でしたね。そのために麻雀をやっているようなところがありますからね。普段、我慢しているのを、その一瞬のためにやっているようなところがありますから」と笑みをこぼした。
昨年もチームは前半戦で躓き▲400ポイント台から一気に浮上してファイナル進出を果たしていたが、今期もここまで思うような結果を出せずに苦しんでいた。「僕らは苦しむことには慣れているんで、今年はわりと軽傷かなと。去年は骨折打撲みたいなところが捻挫で済んだ。でもうほぼ完治」とチームメイトの気持ちを和らげるユーモア溢れる言葉からも、エースの佐々木寿人をはじめ、紅一点の高宮まり、新規加入の藤崎智の精神的な支柱でもあることがわかる。
そもそも前原は「麻雀ってなかなか自分を信じるのが難しいゲームなんですよね。とくに不調な時って。そこで苦しんで苦しみ抜いていくことがすごく肝心なこと。麻雀というのは、極められない道だから」というように、辛酸こそが浮上への好機と捉えている。
だからこそ、プロとは何かと常に自分自身に問いかけている。「やっぱりファンあっての麻雀プロであって、プロとはなんぞやと言ったら、ファンに支持されて成立するものであって、そこに対するアプローチとして真摯に練習していく。自分たちのために麻雀を打っているんじゃなくて、サポータさん達の喜ぶ顔を見たくてやっているんだなというのが本音のところですよね」
サイン色紙を頼まれれば「麻雀はその人となり」と書くこともある前原は、日本プロ麻雀連盟1期生として長年プロ麻雀界を背負ってきた。今後、どんな危機が訪れようとも、言葉でそして大きな背中でチームを鼓舞し続けるに違いない。それが前原雄大というレジェンド雀士の人となりなのだ。【福山純生(雀聖アワー)】
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)







