大和証券Mリーグ2019・12月2日の2回戦で、U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)が出場9試合目にして、待望の今期初勝利を決めた。このトップでチームは10勝目となり、最下位脱出を果たした。
朝倉は開幕から8戦0勝▲203.8で、個人スコア全29人中27位と苦しんでいた。「今年に入ってからMリーグ以外の舞台でも調子が悪く、負け続けていて、自分の麻雀のバランスがどこかおかしくなっているのかな」と悩み続ける辛い日々を過ごしてきた。
オンライン麻雀ゲーム「天鳳(てんほう)」で最高峰に登りつめた者だけに与えられる天鳳位を2度獲得。朝倉はプロ入り前から天鳳で使用していたASAPIN(アサピン)というハンドルネームで戦術書を出版する程、ネット麻雀の雄と言われた実力者だ。
そんなデジタル雀士ながらなんとか勝利を掴もうと、ヘアスタイルを馬のたてがみ風にしてみたり、この日もあえて眼鏡をかけ、馬の視界の一部を遮断してレースに集中させる「ブリンカー」になぞらえてみたり、あの手この手を尽くして、苦しい現状を打開しようと試行錯誤を繰り返していた。
対局者は起家からKADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)、朝倉、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)。
「形テンは勝負手」と公言する朝倉らしい粘りが光ったのは、僅差のトップ目で迎えた南2局の親番だった。2着目だった茅森から7巡目に先制リーチを受けながらも、テンパイが入っても切れない牌は切らないと1メンツ落としで回り込む驚異の粘り込みでテンパイを復活させて連荘にこぎつけた。この手に汗握るギリギリの打ち回しは「朝倉にしかできないやろこれ」「形テンが一番褒められる男」「アサピンすげえ」「朝倉の良さが出たな」とファンから絶賛された。
朝倉のこの日の最高打点は3900点。東3局3本場のリーチ・赤でアガった3900点(+900点)と南3局の発・赤の3900点(+供託2000点)。親番でアガった3900点のアガリ以外では、小刻みな加点と細かい技が冴え渡った。
勝利者インタビューでは「小林さん(小林剛)が僕を気楽にさせるために2着でいい、3着でいいよと言ってくれて。石橋さん(石橋伸洋)と瑞原さん(瑞原明奈)は去年プラスだったんだから、今年はマイナスしても大丈夫だよと言ってくれた」とまさにこの日決まった流行語大賞「ONE TEAM(ワンチーム)」さながらのチームワークに感謝した。
この2カ月間、喉から手が出るほど欲しかったはずのトップだが「どうしてもトップ取りたいと前のめりになると、チームに迷惑がかかる」と熱い気持ちを抱きつつも冷静さを保ち続けるバランスの維持が難しかったと胸のうちを明かした。
このトップでチームは最下位を脱出。首位のKADOKAWAサクラナイツが2連続ラスだったため、首位から8位まで開いていた372.1ポイント差は、一気に141.6ポイント縮まって230.5ポイント差となった。EX風林火山・勝又健志(連盟)は「1週間以内に上位4チームと下位4チームが入れ替わってもおかしくない」と今後も順位変動は予断を許さないとした。
全90試合中40試合を消化するチームも出てきた中、朝倉がこのトップを契機に快走し始めれば、U-NEXT Piratesはあっという間に首位まで駆け上がることができるだろう。【福山純生(雀聖アワー)】
【2回戦結果】
1着 U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)4万8000点/+60.8
2着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)2万9800点/+9.8
3着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)2万700点/▲19.3
4着 KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)8700点/▲51.3
【12月2日終了時点での成績】
1位 KADOKAWAサクラナイツ +115.1(40/90)
2位 EX風林火山 +73.5(38/90)
3位 渋谷ABEMAS +45.7(38/90)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +28.5(40/90)
5位 赤坂ドリブンズ ▲28.4(38/90)
6位 TEAM雷電 ▲40.0(38/90)
7位 U-NEXT Pirates ▲79.0(40/90)
8位 セガサミーフェニックス ▲115.4(40/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)






