2日の国会は、「桜を見る会」をめぐって事実上、野党側が安倍総理に直接問いただせる最後の機会だった。
そこで焦点となった問題の1つが、シュレッダーにかけて失われた招待者名簿。政府が野党議員から資料要求を受けた5月9日に招待者名簿を破棄したことについて問われた安倍総理は、「シュレッダーの空き状況や担当である障害者雇用の短時間勤務職員の勤務時間等との調整を行った結果、使用予定日が5月9日となったことから、野党議員からの資料要求とはまったく無関係であるとの報告を受けている」と説明した。
しかし、シュレッダーの使用記録では5月9日以前にも空いている時間帯が確認でき、中には午後3時までの短時間勤務職員が作業可能な時間帯も複数あることがわかっている。この点について、安倍総理から詳しい説明はなかった。
また、招待者名簿の電子データの復元については、「消去済みで復元はできない」という従来の説明を繰り返した。ここで安倍総理は、内閣府のシステムは「シンクライアント方式」で管理していると発言している。
そもそも、シンクライアント方式とはどのようなものなのか。ITジャーナリストの石川温氏は「ネットの掲示板のようなイメージ。データ管理をサーバーに一元化。ブラウザに近い感覚で、個人端末にデータは残っていない可能性が高い」と説明。
では、サーバー上のバックアップデータが消えている場合は復旧できないのか。石川氏は「データ消去とは、本に例えると目次を消しただけに過ぎない。目次を消すとページは見つけにくいが、実際のデータは残っている。専門業者がサーバーを止めて作業すれば復旧できる可能性もある」との見方を示す。
さらに、立命館大学情報理工学部の上原啓太郎教授にも話を聞いた。シンクライアント方式におけるデータ復旧の可否について上原教授は「結論、不可能ではないが決して簡単ではない」と指摘。データ復元のためには担当省庁すべてのサーバーを止める必要があるといい、「復旧作業には莫大なコストと手間がかかる。コストは大きく分けて2つで、(1)日常業務を行っている省庁の仕事を全部止めて復旧作業を行う必要性、(2)膨大なサーバーのデータの中から1つのデータを見つける為に、職人と呼ばれるレベルのエンジニアが何人も数日間張り付いての作業が必要。費用は数百万円以上~数千万円ほどかかる可能性がある」という。
そのコストについて、BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「逆に頑張れば復元できるということで、この金額ならお金がかかっても究明してほしいと思う」とした上で、「政府の資料は原則残すべきで、例外的に消すのであれば何を消したのかを別途記録するぐらい厳格にやった方がいい。都合の悪いものを消すというのは歴史に対する背信行為であって、先日亡くなった中曽根元総理の『政治家の人生は、その成し得た結果を歴史という法廷において裁かれることでのみ評価される』『いいところだけ出すと、ゆがみを生ずる。全部出さないと公正な判断ができない』という言葉はもっともだと思う。今の世代の話だけではなくて、後々の検証に耐えうるかどうかが大切だ」とデータ保存の重要性を説いた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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