「桜を見る会」をめぐる攻防で大揺れとなった臨時国会が9日、閉会した。
安倍総理が目指す憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案は成立せず、5国会連続で継続審議となった。しかし、安倍総理は国会閉会後の会見で「私の手で成し遂げていきたい」と、改めて任期中の憲法改正への強い意欲をアピールした。
一方、桜を見る会をめぐる疑惑の解明については、「招待者名簿は適正に廃棄をしている。データの復元についても不可能であるとの報告を受けた」とし、破綻したジャパンライフ元会長との関係についても「個人的な関係は一切ない」とこれまでと同様の説明を繰り返した。
桜を見る会の真相究明のため、野党側は40日間の会期延長を申し入れた。立憲民主党・安住淳国対委員長は「一言でいうと“総理隠し国会”だった。今後、閉会中審査や通常国会で徹底的な追求をしていきたい」、共産党・志位和夫委員長は「説明責任を果たさずに国会の閉会を強行してしまう。安倍総理のモラル崩壊が行き着くところまできた」などと批判した。
桜を見る会に揺れた臨時国会について、AbemaTV『けやきヒルズ』は東京工業大学准教授の西田亮介氏に安倍内閣の「通信簿」をつけてもらった(1が最低、5が最高)。
まず、地元の有権者に香典などを配っていた疑惑で菅原一秀前経済産業大臣が、妻の河井案里議員の公選法違反疑惑で河井克行前法務大臣が辞任したことについては、最低の「1」の評価。「あまりにも古典的な選挙違反の可能性があることと、説明責任を果たすと言いながらその後国会にも現れず、説明が全然果たされていない」と指摘する。
また、大学入試共通テストの英語民間試験導入が延期されたことは「2」と評価し、理由を「問題が繰り返し指摘されていて、対応の時期は遅かったと思うが、それでも延期ということを決めたというところ」と説明。
そして、国会を揺らした桜を見る会の説明責任については「全然果たされていないと思う。ソースはインターネット上の情報、つまりブログのスクリーンショットなどで、ジャパンライフの元会長に招待状が行っていたのではないか、データの復元は技術的に可能なのではないかと指摘されている。問題がないというのであれば、それらについて積極的に説明するべき」と苦言を呈し、評価を「1」とした。
一方で、いくつかの重要法案も成立している。
日米貿易協定は「2」と評価し、「TPP並みのものにすると言っていたが、日本は譲歩したようにも見える。自動車の関税は継続審議となっているが、関税が撤廃されたとして試算された資料しか提示されておらず、説明責任の問題も残っている。一方で、従前からこうなるだろうと言われていた」と説明。
改正会社法については「4」と前向きに評価し、「国際的に日本の会社法、企業のガバナンスは甘いんじゃないかと言われていたが、例えば社外取締役の設置を義務付けるなど、その厳格化に概ね貢献するような内容になっている。これは肯定的に評価している」とする。
また、安倍総理が目指す国民投票法改正案が継続審議となったことについては、「可もなく不可もなくといったところ。この状態がずっと続いているので著変なし」として「3」だとした。
これらを踏まえ、西田氏は「総じて説明責任が十分果たされていない」と総括し、「35点満点中14点で、100点満点なら40点。大学は大体7割が及第点なので不合格かもしれない。国会をめぐるやりとり、法案の審査の過程を見ても、一方的に問題ないということが主張されるばかりで、疑惑に対して積極的な説明がなされていない。日本の政治は“年を越すとすべてリセットされる”ということが言われるが、これは気分一新してはいけない。1月に入ると通常国会を開かなければならないが、今度は来年度の予算の問題が出てくるので、昨年度の疑惑を追求する暇がなくなってしまう。そうならないように、こういうことがあったと次の選挙まで考えていかないといけない」と述べた。
一方、問題を追求する野党側の評価については、「頑張って追求しているが、様々な制度の問題が阻んでいる。例えば、政治資金規正法は、政治家が説明責任を果たすべきだといっても辞めてしまうと追及しにくく、報告書を修正してしまえば事実上お咎めなしになってしまっている。説明を求めると同時に政府と政治家が逃げられない仕組みの整備を求めていかないといけない」とした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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