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(葉月を下した直後、木村花と会場外でも乱闘を繰り広げたジュリア)

 元アイスリボンのジュリアが、新たに所属となったスターダムでのキャリアをスタートさせた。2017年にデビュー、アイスリボンの次期エース候補と目されていたジュリアだったが、この10月にSNSで突然、退団を表明。その直後にスターダムのリングに上がり参戦アピールをしたことで業界を騒然とさせた。

 その時点でアイスリボンの社員であり、今後の試合スケジュールも決まっていただけに衝撃は大きかった。結果、あらためて団体間で話し合いが持たれ、その上で正式に移籍が決定。同じタイミングで、スターダムは新日本プロレスと同じブシロードの傘下になっている。“メジャー化”にあたり、新体制としてスキャンダルが大きくなるのは避けなければいけなかった。木谷高明オーナーは「昭和っぽさが残ってる。もう平成も終わってるんですから」と現場の指揮をとるロッシー小川氏に釘を刺している。

 後日、ジュリアはあらためて記者会見の中で入団の挨拶を行なっている。囲み取材でも意気込みを語ったが、古巣への思いを聞かれると「ノーコメントで」。団体側からも、事前に取材者に対して「過去のことは話せません。これからのことだけ」という説明があった。

 突然のアイスリボン離脱に驚き、あるいは泣いたファンからすれば納得がいかないのではないか。何があったのか、どんな気持ちで移籍したのかについてまったく話せないものなのか。そんなモヤモヤを察していたかのように、ジュリアに噛み付いたのがスターダムの人気選手、木村花だ。囲み取材の前、入団挨拶に割って入った花は、こんな言葉をジュリアに浴びせている。

「退団発表も入団発表もSNSってナメてるんじゃないの? その行動で私たちまで非難されてる。私たちはあなたのこと受け入れてませんから」

 両者は睨み合いから乱闘に。12月24日の後楽園ホール大会で対戦することとなった。さらにスターダム初戦となった12.8新木場大会、ジュリアはいきなりメインイベントに登場すると、葉月に変形の裏STF「ステルス・バイパー」で勝利。この試合のサブタイトル自体が「ジュリア・オブ・スターダム」であり、団体からの期待を表していたと言っていいだろう(一方で選手コール時のキャッチフレーズが“話題のお騒がせ女”だったことには「懲りてないなここの運営」と思わされた)。

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(レインメーカー式の顔面蹴りなど激しい打撃とサブミッションで葉月を追い込む)

 試合後のジュリアは葉月を「踏み台」とこき下ろすと、今後の闘いに向け「一人ずつスターダムをぶっ潰していく」。続けて木村花をリングに呼び込んで、またも乱闘を展開した。今度はリングから場外、会場外のグッズ販売コーナーまでなだれ込み、連れ戻された控室でもまだ髪を掴み合うという大荒れぶりだ。

 はっきり言ってしまえば、乱闘はプロレス界では見慣れた光景だ。ただジュリアの騒動で団体自体まで批判されてはたまらないという花の主張はリアルなものでもある。ジュリアは華のあるレスラーであり、同時に気性の激しさが持ち味。現時点では、スターダムでは後者が目立っている。立ち位置としては“外敵”、“異物”だ。入団の経緯からして、どうしてもダークなイメージは付きまとってしまう。ならば振り切ってしまえ、ということなのかもしれない。

 古巣への「ノーコメント」にしても「今さら言い訳をしても取り返しがつかない」という意思の表明にも見える。そんなジュリアを許せるか許せないかは人それぞれ。だが本人は腹を括ったということだ。12.24後楽園での木村花とのシングルマッチは、女子プロレスの次世代を担う選手同士の見逃せない大一番だ。ジュリアに対して複雑な感情を抱いていても、この試合が見たいか見たくないかと言われたら「見たい」ファンのほうが多いと思う。

 この試合を経て、来年のジュリアがどんなポジションでどんな姿を見せるのか。非常に注目している。そして何より、今回の騒動に関わったレスラー、ファン、関係者全員が、最終的にプロレスを通して幸福になることを願う。

文・橋本宗洋

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