経済産業省で勤務する性同一性障害の職員が「女性用トイレの使用を制限されたことは違法」として国に対して処遇改善を求めていた裁判で、東京地方裁判所は12月12日、原告の訴えを認めて国に約130万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
原告の経産省職員は、戸籍上は 男性で男性として経産省に入省したが、1998年ごろに性同一性障害と診断され、以降は女性として働いていた。
職員は自分の部署があるフロアの女性用トイレの使用を禁止され、2階以上離れたフロアのトイレを使用するよう決められていたそうで、女性用トイレを使用するためには性同一性障害であることをほかの女性職員に告知して理解を求めるように命じられていた。
東京地裁は判決で「個人が自認する性別に即した社会生活を送れることは重要な法的利益だ」と指摘し、トイレの使用制限は違法だとして制限を取り消し、国に約130万円の支払いを命じた。これに対して経産省は控訴するかは判決を精査するとし、関係省庁とも相談のうえ対応を決めるとしている。
判決後に記者会見を開いた原告の職員は「今は女性として生活しているので、他の女性と同じように扱ってほしいだけ」とし「職場での処遇に困っている同じような当事者を勇気づける内容の判決だった。それぞれの企業や職場で、やれることを前向きに取り組んでほしい」と語った。
コメンテーターを務める牧師のアーサー・ホランド氏は「人間には偏見、差別、固定観念がありますからね」と前置きしたうえで「その固定観念が通用しない時代になってきた。私たちはいろいろな状況を通じて学んでいかなければいけない」と、LGBT問題についての意識改革の必要性を訴えた。
最後に「僕のところにもLGBTの人たちが講演会に来てくれて、話をしたりする仲のいい人たちもいます。牧師の世界でも偏見や差別はありますが、僕は適応していきたい」とコメントした。
(AbemaTV/「けやきヒルズ」より)
▶【動画】女性用トイレ制限問題で原告の訴え認める判決
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