2013年12月、銀座に1号店をオープン以来、右肩上がりで急成長を続けてきた「いきなり! ステーキ」に異変が起こっている。先週には一瀬邦夫社長からのお願いとして「お客様のご来店が減少しております。このままではお近くの店を閉めることになります」などと書かれた直筆メッセージが店頭に掲出されたことでも話題になっている。3年足らずで全国100店舗の成長を遂げた「いきなり! ステーキ」に、今何が起こっているのか。
風向きが変わり始めたのは2017年のアメリカ進出。ステーキの本場に出店攻勢をかけるも、11店舗のうち7店舗を閉店。損失は約12億円にもおよんだ。さらにチェーン店の宿命といえる「カミナリステーキ」「やっぱりステーキ」などの後追い店舗も続々登場。客の取り合い、利益減少に拍車をかけた。2018年の売上高は635億900万円だったが、最終利益は1億2100万円と8年ぶりの赤字に落ち込んだ。
この結果を受け、同店を運営するペッパーフードサービスは今期の営業赤字を発表。「いきなり! ステーキ」の2019年度の出店計画は当初の210店舗から115店舗に縮小したうえで、既存の44店舗の退店も明かした。大ブレークからの大ブレーキ…この状況について、15日にAbemaTVで放送された『Abema的ニュースショー』に出演したすかいらーく創業者一族で亜細亜大学経営学部の横川潤教授は「はじめは話題性があり高いイメージのステーキを安いイメージに定着させ、パッと食べて帰りたいニーズにもうまくハマった」と成功要因を分析する一方、失速要因については「店舗を作り過ぎた結果、自社競合が起きてしまって失速が始まった」と話した。
さらに今回の「直筆メッセージ」に対してネットでは「客に自ら入客数減っていうか? 違う店に行くかとなる」「マーケティングとして失敗。お客は義理・人情で来店するわけではない」などの厳しい声が上がっている。
■常連、従業員はどう思っているのか?
直筆メッセージや世間の反応に対して、一瀬社長はどのように考えているのか。取材に応じた同氏は「(張り紙は)僕の思い。実情を知ってもらうことが一番手っ取り早いと思った」と話すと、その後の反響の大きさについては「想定というよりも、書いて訴えよう。お客様に気づいてもらおうと。普通の社長ならしない。一瀬社長は非常識の塊だって、僕は誉め言葉だとずっと思ってきた。そういう社長がいてもいい。自分に素直に、自分の気持ちを訴えた。このままじゃ、店をもっと閉店しなければならなくなるので」と続けた。「いずれこうなると思っていた」とも話した一瀬社長は、増え続ける競合店の存在については「ウチの方が全然リーズナブルだ」と自信をのぞかせた。
そんな社長の思いとは裏腹に、複雑な胸中を明かしたのは、K-1ファイターの夫とかなりの頻度で通っていると話したモデルで女優の高橋ユウだ。高橋は「大好きで頻繁に行く。社長は『知ってほしい』と話していたが、日頃から通っている人からしたら、好きで行っているから人気が落ちているなんて気づかない。ただ行ったときに張り紙を見て『あ、そうなんだ』となってしまう。知りたくなかったというのが常連側の意見。本当に大変だったのであれば、違う方法で売り上げなどの方法を考えていただたきたかった」と今回の直筆メッセージを残念がった。
高橋の話を受け、横川氏は「やってはいけないことだった」と指摘すると「流行ってないことを言ってしまうというのは危険。一般の目に触れるところに出してしまったことも、中でご飯を食べている人が『流行ってない店でご飯を食べている』と思ってしまう。やはり定石ではない」と批判的な意見を述べた。
横川氏の話に共感を示したMCの千原ジュニアが「ロッカールームに張っておけばいい」と続くと、ジャーナリストの堀潤氏は「従業員の方がどう思っているのかが気になる」と話した。
【映像】一瀬社長が15分で語ったこと
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