朝日が昇る熊本城。城に向かい、手を合わせる女性2人組。「城は生きる力」「ああ、良いこと言うねえ、元気の素だろうね」。
400年間、城下を見守ってきた城。そびえ立つ大小2つの天守閣は、心に刻まれた熊本の誇りだった。そして2016年4月、いつもと変わらぬ春が巡ってきたと思っていた。その矢先の熊本地震。272人の命が奪われ、被災した家屋は19万棟、避難生活を余儀なくされた人は18万人に上った。
熊本城も、かつての勇壮な姿が一変、落城したかのようになった。櫓など、13ある国の重要文化財は全て被災。反り返る「武者返し」で知られる石垣の被害は特に大きく、すべての復旧が終わるまでに20年かかる見通しとされた。