東京地検特捜部は25日、カジノを含む統合型リゾート(IR)担当の副大臣などを努めた秋元司衆議院議員を収賄の疑いで逮捕した。秋元議員側はIR参入を目指していた中国企業から現金300万円を受け取ったほか、70万円相当の供与を受けた疑いが持たれている。
24日の取材に対し秋元議員は「何度も申し上げていますけど、不正には一切関与していませんし、報道で言われている資金が私に渡ったんじゃないかということも一切ありませんから。弁護士さんも『何の容疑なのかよくわからない』と当惑しています」と改めて否定。25日午前のツイートでも「私は、不正には一切関与しておりません。そのことは、引き続き主張してまいります」としている。
また、中国企業の関わりについても、日本でのIR参入を目指す外国企業の1つにすぎなかったという。「私の当時の思いとして、はっきり申し上げて、中国の会社はIRのオペレーション会社の経験がないからまず“日本ではできないだろう”と思っていましたよ。それで中国の会社以上にラスベガスベイサンズだとかMGMとか、他のアメリカのオペレーションの方がどんどん私のところにたくさん来ていますよ。いろいろな相談で」と強調した。
2017年8月、疑惑のある中国企業が沖縄県・那覇市で開いたシンポジウムで、基調講演を行った秋元議員。この3日後、秋元議員はIR担当の副大臣に就任。4カ月後には中国・深センにある中国企業の本社を訪れ、経営トップと面会していた。関係者によると、秋元議員はその時に「あの企業の6000万人以上いる顧客を日本に呼んできたい」と話したという。
「彼らと食事会をしたのは、深センに行った時に夜飯を食べる機会があったから、確かに一緒に食事をしましたよ。食事くらいはごちそうになったかもしれませんけどね。(金銭的な貸し借りなども)一切ないです」と秋元議員。
2018年1月、IR誘致を表明した北海道・留寿都村を「中国企業のアドバイザー」を名乗る1人の日本人男性が訪れる。そして、留寿都村議会の松井幸雄議長に秋元議員を紹介。その後、秋元議員と面会したという松井議長は「(秋元議員とは)初対面ですからぜひやりたいということ、よろしくお願いします(というやりとり)ぐらいですよね。(秋元議員と中国企業は)もちろん結構な関係だったみたい。『おたくさんは力があるからね』みたいなことを秋元議員が言ったような記憶がある。ということは、以前から知っていたということでしょう」と話している。
自治体や企業からIR事業の顔役と見られていたことがうかがえる秋元議員の今回の逮捕。元地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は「政治家の収賄事件での逮捕は、おそらく鈴木宗男氏の事件以来。このところ検察が政権側・与党側に対する捜査をあまり積極的にやらないという批判も受けていたが、今回内閣府副大臣だった自民党の議員を収賄で逮捕したことはかなり驚きがある」と率直に話す。
外為法違反容疑の関係先として19日、秋元議員の事務所に捜索が入っていた。そこからわずか1週間で逮捕された経緯については「国会議員は不逮捕特権があって、通常国会が始まると国会の許諾がないと逮捕できなくなる。逮捕しても国会の要求があれば釈放しないといけないので、通常国会の開会に間に合わせるようにこの時期に逮捕したのではないか」との見解。
一方で、秋元議員への収賄容疑には懸念もあるといい、「中国関連企業のIR参入の話は結局うまくいっていない。その過程で秋元議員が実際に中国に行ったりしていたことはあるが、積極的に動いていたのは秘書だと言われている。中国企業からの現金も秘書が受け取ったんじゃないかと思われる部分もあって、それが本当に秋元議員の代わりだったのか、それとも秘書になんらかの個人的な目的があって秘書ビジネスのような形で受け取ったのか。このあたりが争点になってくる可能性がある」とした。
とはいえ、秋元議員が関与したというある程度の確信があったからこそ逮捕に至ったのではないか。この点について郷原弁護士は「一般的にはそうなるが、秘書の供述の信用性が立証できるかどうか。現金の賄賂以外に家族と一緒に北海道へ旅行した費用を持ってもらったようだが、現金授受の事実が立証できなくてもこの旅行代金のところは固いだろうという見立ての可能性もある」と推察する。
その上で、収賄容疑の立件は難しいとし「一般的には密室で1対1でやりとりが行われるのでなかなか立証は難しい。本件は秋元議員本人が直接受け取っていないとなると共謀のところが問題になるが、いずれも非常に難しい。秘書の供述の信用性と、それに関連したお金がどのように流れたかが争点になってくる」とした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
▶映像:秋元議員の事務所捜索時の様子
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