12月28日に名古屋ドルフィンズアリーナで開催されるK-1 2019年最後のビッグマッチ。そのスーパーファイトでムエタイの有望株・スリヤンレック・オーボートー.ガムピー(タイ)と対戦する武居由樹に魔娑斗が「武居の焦った顔が見られるかもしれない」と警鐘を鳴らした。
この日開催される初代女子フライ級王座決定トーナメントの決勝と、安保瑠輝也とゲーオ・ウィラサクレックのスーパー・ライト級タイトルマッチに注目が集まる一方、今年K-1で主力級の活躍をした武居由樹のスーパーファイトで難敵が用意された。それは、武居の対戦者であるスリヤンレック。日本では「未知の強豪」との位置づけだが、そのポテンシャルの高さに元K-1 MAX世界王者で中量級を知り尽くした魔娑斗が試合展開を予想した。
武居と対戦するスリヤンレックは日本ではまだ無名の選手だが、過去のムエタイでの戦績は170戦148勝(うち21KO)20敗2分。タイのメジャータイトル、ラジャダムナンスタジアムとルンピニースタジアムのスーパー・バンタム級のランキングで現在4位と、紛れもなくメジャータイトル戴冠目前の選手だ。
魔娑斗はスリヤンレックの試合映像をみて「近い距離で戦う、身体の力がありそうな選手。昔のムエタイの選手のようにゴリゴリに前に出てくるファイター。打ち方からもゴツゴツした硬いパンチ」と特徴を語る。武居との対戦について魔娑斗はスリヤンレックの距離で戦うことになると難しい試合になると予想する。
「パンチは一発当たれば効くが、この振り回すパンチが武居に当たるのかなとは思う。ただパンチの回転が速いので1発、2発ブロックしても3発・4発・5発と、この選手は前に出てくるので、自分の距離で戦えた時は武居も苦戦するんじゃないかなと思う」
ハードに打ち続ける技術面以上に魔娑斗がスリヤンレックの危険性を指摘するのが「気持ちの強さ」。拮抗した場面では、一流選手が必ず挙げる精神面での強さが勝敗を分ける。武居対スリヤンレックが気持ちの強さの勝負になることも、十分に予想されると魔裟斗。
一方、武居の強みについては「ボディ打ち」を挙げた。近年連勝を重ねるなかで強さを極めてきた武居のボディは、近年国内勢のみならず海外勢も木っ端微塵に倒しKOの山を築いてきた実績がある。スリヤンレックがムエタイの試合で経験したことのないボディ打ちが攻略の鍵になるかもしれない。
ステップワークで距離を取りながら強打を打つ武居と近い距離で前に出る連打が生命線のスリヤンレック。対象的な戦い方から、魔娑斗はこの試合の注目点は「距離」だという。どちらの距離で戦えるかで試合の展開も大きく変わることが予想される。距離のイニシアチブ争い次第では「今までに見たことのない武居の焦った顔が見られるかもしれない」と好試合に期待を寄せた。
2015年からKrush時代も通じて「K-1 18連勝」うち14KOと圧倒的な強さをみせ、武尊と並ぶ現K-1が生んだ寵児となった武居。近年掲げてきたタイ勢など海外勢との対戦でもKOの山を築き、2019年も4戦KOとK-1の世界では敵なしの状態が続く。ノンタイトル戦とはいえ、現役ムエタイの上位ランカーとの対戦は「武居vs世界」の試金石となる試合だ。
2019年を武居由樹が無敗で終われるか。魔娑斗の予言にもある両選手「距離との戦い」に注目したい。