MMAから転身したフランス国籍の名古屋人・加藤久輝(ALIVE)の規格外パワーにドルフィンズアリーナがどよめき、試合を中継したAbemaTVの視聴者からは「まるでミルコのハイキックみたいだ」と驚嘆の声が上がった。
アメリカのメジャー総合格闘技団体からK-1ファイターへと転身した37歳のベテラン・加藤が、日本の重量級トップファイターであるK-Jee(K-1ジム福岡チームbeginning)を粉砕。「K-1冬のビッグマッチ」の大舞台で、今年果たせなかったK-1クルーザー級タイトル奪取への再挑戦を誓った。
総合格闘技経由という珍しいルートから2018年にK-1参戦を果たした加藤。日本人の父、フランス人の母をルーツに持ち、名古屋は日本での地元となる。北米MMAのトップリーグの1つベラトールで活躍し、空手ベースの打撃はK-1重量級でも一撃必殺の破壊力を誇る。今年3月のK-1クルーザー級タイトル戦では、王者・シナ・カリミアンと壮絶な打ち合いを演じ判定負けを喫したが、試合を重ねるごとにK-1へ適応し、K-1ファイターとして成長を遂げてきた。
一方のK-Jeeも、Krushクルーザー級王者で国内随一のKOアーティストという自負がある。九州を拠点に名古屋・大阪に続き九州でのK-1開催のキーマンとして結果が欲しい試合である。
試合は加藤のワールドクラスの戦いで培ってきたフィジカルを体現するような展開となった。1R強烈な左のボディーブローを皮切りに、空手ベースの強烈な左ロー、ボディと一発一発に重みがある。K-Jeeもパンチを遮り左右のフックで反撃にでるが、加藤が振り切るように前にでてハイキックを繰り出すなど、迫力で一歩勝る。さらにジワジワと足の動きを止めるローキック、ボディ、ミドルに対して、K-Jeeは攻略の糸口が見つからない。
2Rも加藤が執拗な奥足へのローキックで削っていく。K-Jeeも距離を縮めて打開を試みるが、ボディで崩されると、左右のパンチからの強烈な左ハイキックで崩れ落ちた。大きなダメージを負ったK-Jeeは、再び加藤のラッシュ、さらに2発のハイキックを被弾して2度目のダウン。最後は決定打となる左ストレートを顔面に打ち込まれ、静かに崩れ落ちた。
9カ月ぶりの復帰戦でKrush王者に完勝した加藤は「今回KOボーナスが大きかったので、判定じゃなくて早めにボーナスもらって家に帰って飲もうと思ってちょっとリキんでしまいました」と笑いを誘い「でも90kg級はリキんでパンチ出さないと面白くないので仕事をちゃんと果たしました」と持ち味をアピール。
さらにクルーザー級のタイトル戦についても言及すると「カリミアンが来て”久しぶり元気か?”と聞かれました。どうでもいいんだけど、早く愛鷹選手とケガせずに試合して勝った方を僕は待っています」と、次期挑戦権の表明も忘れなかった。