ATP(男子プロテニス協会)が主催する『ATPカップ』が開幕した。まずは6グループに分かれてのグループラウンドだが、初日から荒れ模様。シドニー会場ではブルガリアがイギリスを破り、ブリスベンでは世界7位のアレクサンダー・ズベレフを擁するドイツに開催国オーストラリアが3連勝。そしてパースでは出場24カ国の最後に滑り込んだノルウェーがアメリカを破った。
勝利の立役者は21歳の若きエース、キャスパー・ルードだ。世界ランク19位のジョン・イズナーに対し、マッチポイントからの大逆転。身長208cmのビッグサーバーが相手では、ろくにブレークチャンスすらなく、可能性の光が射したかと思えば強烈なサーブを叩き込まれ、すぐに目の前は暗く閉ざされた。
それでも、今注目の〈ネクストジェン〉の心は折れることなく、自身も安定したサービスキープを展開。鮮やかな股抜きショットなどエンターテイナー性の高いプレーも披露した。第2セットになると、そんなルードがチャンスをつかみ始める。第1ゲームで初のブレークポイントを握ると、第3ゲームもデュースに持ち込んだ。結局あと一本が出ないまま再びタイブレークへもつれたが、ここで強靭な精神力を発揮。緊迫したシーソーゲームの中で2度のマッチポイントを握られたが、守りに入らずアグレッシブなプレーでしのぎ、タイブレーク9-9からフォアハンドのリターンエースを放つと、最後はフォアのボレーを決めてタイブレークをものにした。
「たとえ6-7 6-7で敗れていても、悔やむところはなかったと思う」と言うほどのハイレベルのプレー。そして、リターンでの立ち位置を極端に後ろに下げたりベースライン付近まで上げてきたりと、サーブ攻略のために続けてきた工夫がイズナーにプレッシャーをかけ、ついに初ブレークの瞬間が訪れた。最終セット6-5で迎えた第12ゲーム。一度もブレークできなかった前回の対戦から数えて34ゲーム目のことだ。
「ラッキーなところもあったけど、リターンはよく返せたと思う。ボールに集中することだけ考えていた。この大会のために2カ月準備をしてきたから最高の勝利だよ」
次の対戦国はイタリア。今度は世界ランク12位のファビオ・フォニーニを相手にどんな巧妙な技を見せてくれるか楽しみだ。