ATP(男子プロテニス協会)が主催する国別対抗戦『ATPカップ』は3日目、グループラウンドの2戦目が行なわれ、パース会場で行なわれているグループDでは1勝のロシアと1敗のアメリカが対戦した。
第1試合が白熱した。グループラウンドでのシングルス2対決でもっとも豪華なカードといっていい。世界ランク17位のカレン・ハチャノフと同32位のテイラー・フリッツ。ロシア対アメリカという対立構図といい、23歳vs22歳という将来性といい、注目要素の詰まった一戦だ。198cmと193cmのビッグサーバー同士。この若さでどちらもパパという点も押さえておきたい。20歳で結婚したハチャノフには4歳になる子供がいる。それよりもさらに若い18歳という年齢で妻を迎えたフリッツは、もうすぐ3歳になる息子の父親だ。若くとも、責任感は強いに違いない。家族のため、チームの先勝のためコートに立った二人である。
第1セットはフリッツが6-3で先取。第2セットも第5ゲームで先にブレークしたのはフリッツ。直後のゲームを30-0とリードし、流れはほぼフリッツだったが、そこからカチャノフが4ポイント連取でブレークバックに成功する。このゲームのフリッツはファーストサーブがまったく入らず、最後はダブルフォルトをおかした。そこからは互いに武器のサーブの威力を競い合うようにキープし合ったが、ついにブレークのチャンスをたぐり寄せたのはハチャノフ。6-5で迎えた第12ゲーム、15-30から力強いフォアのパッシングショットでセットポイントを握り、最後はフォアの逆クロスへのウィナーでこのセットをものにした。
最終セットはハチャノフの一方的な展開となった。最速224kmのサーブを放っていたフリッツから2度のブレークに成功して6-1。若いパパ対決はハチャノフに軍配が上がった。
オンコートインタビューでは、「子供ができて前以上にハッピーだ。今は妻と家でテレビを見てくれているんじゃないかな」と顔をほころばせた。いいムードで襷を受け取ったダニール・メドベージェフはジョン・イズナーとのエース対決に6-3 6-1で快勝。ロシアはグループ1位通過へ大きく前進した。
文/山口奈緒美