ATP(男子プロテニス協会)が主催するテニスの国別対抗戦『ATPカップ』は大会4日目を終え、グループラウンドの2戦目がすべて終了。パース会場のグループBでは最強国スペインがウルグアイを3-0で下したが、ほぼ結末のわかりきった対戦を盛り上げたのはウルグアイの17歳だった。
ウルグアイはナンバー2のマルティン・クエバスが初戦でケガをし、19歳のフランコ・ロンカデリがシングルスの代役を務めたが、相手がロベルト・バウティスタ アグートでは歯が立たず、1-6 2-6で完敗。続いて王者ラファエル・ナダルが世界45位のパブロ・クエバスを6-2 6-1で粉砕して勝敗が決まると、ウルグアイがロンカデリよりもさらに若い17歳のホアンマルティン・フモーをダブルスに送り出した。パートナーのアリエル・ベアールはダブルスランキング76位の30歳だが、フモーのほうはプロでの経験わずか2大会。ジュニア200位台でしかなく、日本のジュニアで彼よりランキングが高い選手は6人もいる。
年齢よりもあどけない面立ちで、体つきもまさに少年。そんなフモー君がネットをはさんで対峙したのは、全仏オープンのダブルス・タイトルを含めて持つ38歳のフェリシアーノ・ロペスと、ダブルスで3回ツアー優勝しているパブロ・カレーニョブスタである。大人の色気を振りまくスペインペアとのコントラストはあまりにも激しかったが、試合が進むにつれてどんどん調子が上がっていくフモー君。ダウンザラインにパッシングショットを放ったり、思い切ったポーチでボレーを決めたりするたびにウルグアイベンチは“大笑い”だ。
試合を生中継したAbemaTVの視聴者からも、「17歳とか応援しかないやろ」「みんなやさしく見守ってていいな」「17歳でロペスと戦えるとか羨ましい」「フモー君は将来有望だな」と応援コメントが急増。そんな中でロペスとカレーニョブスタが少しの油断と優しさを見せたことが仇となり、第2セットはウルグアイが奪うまさかの展開となったが、スーパータイブレークはスペインが圧倒して事なきを得た。
はにかみながらスターたちと最後の握手。ATPカップならではの光景として楽しむ一方で、今のフモーと同じ17歳でツアー初優勝を果たし、18歳で迎えた全仏オープンを制覇したナダルの凄さに今さらながら震えた時間でもあった。
文/山口奈緒美