8日にブリスベンで行われたテニス国別対抗戦・ATPカップ、フランス対南アフリカの試合。6日のセルビア戦に続き、この日も「イラチ」ペールが発動。試合中に激昂し、逆切れしたペールはもう誰も止められない。観客席にボールを打ち込み、さらには審判と口論。リードしていた場面から大崩れして試合にも敗れてしまった。
1つでも負ければ、フランスチームの決勝トーナメント進出の道が絶たれる大事な試合だった。初戦のシングルスを取り、あと2勝で決勝トーナメント進出という状況で、ペールの出番となった。2日前のセルビア戦でも大暴れだったペールが出場することもあり、場内にも不穏な空気が漂っていた。ペールを送り出したフランスの監督、ジル・シモンもどこか不安な表情をしていた。
試合が始まるといきなりペールのペースに。相手は南アフリカのビッグサーバー、ケビン・アンダーソン。なかなかブレークが難しく、いかにもメンタルが問われそうな試合でペールは最高のプレーでチームと観客に応える。軽快なプレーでリードを広げ、あと1ゲームで勝利の場面。自らのサービスゲームをキープすれば勝利となる。
フランス決勝トーナメント進出へ王手か。誰もがそう思った。だがこれで終わらないのがペールだ。そのサービスゲームで3回のダブルフォルトを犯し、アンダーソンが何もしていないのに自滅してしまった。
これにはAbemaTV解説の西野恭之介氏も「ちょっとね、意味が分からないですよね」と困惑。さらにタイブレークでは、ラリー中に観客の声が入ってしまい、プレーが続行したことに激怒。観客席にボールを打ち込み、大声で審判に抗議した。
ペールのあまりの暴れっぷりに、さすがにまずいと思ったのだろうか。この日試合のなかったモンフィスが急遽主審に謝りに行くことに。本人は何も悪いことをしていないのに謝りに行く姿を見て、西野氏も「まるで中間管理職のようだ」と同情。しかし、ネットコメントでは「劇場の幕開け」「イラチ待ってました」となぜか歓迎ムードだった。
そしてファイナルセットでも再びイラチが発動。一旦は落ち着きを取り戻し、再びリードを作ったにもかかわらず、またしても最後のサービスゲームでダブルフォルトを連発。そのままタイブレークで敗戦。何度も勝利目前に迫りながら、フランスの優勝の望みは「イラチ」によって絶たれてしまった。
文/今田望未(テニスライター)