『ダーウィンズゲーム』主人公役・小林裕介、“平凡”を演じる難しさを語る 「カラーが無い」キャラの持ち味とは
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 1月から放送・配信されているアニメ『ダーウィンズゲーム』。スマートフォンアプリを介して繰り広げられるデスゲームに巻き込まれた平凡な高校生・カナメ(須藤要、CV:小林裕介)は謎の美少女・シュカ(狩野朱歌、CV:上田麗奈)と出会い、自身に強力なシギル(=異能力)が付与されていることを知る。死闘だけではなく人間模様も綿密に描かれていることが魅力の本作は、原作者である深山秀(FLIPFLOPs)がシリーズ構成・脚本を担当し、全11話でのアニメ化となる。

 AbemaTIMESでは、本作の主人公・カナメ役を演じる声優・小林裕介へのインタビューを実施。やがてクランのリーダーへと成長していく彼を演じる上で、どのような葛藤があったのだろうか。

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―― 自身が演じるカナメについて、『ダーウィンズゲームTV(2019年10月にAbemaTVで放送されたアニメ化記念特番)』で「キャラクターのカラーが無いことが良い」とおっしゃっていましたが、それはどのような意味ですか?

小林:カナメって不思議なキャラクターですよね、主人公なのに「光の当たるところにいない」というか。オープニング映像を見ていても、シュカは鎖を自在に操ったり、リュージ(前坂隆二、CV:八代拓)は重火器をぶっ放したり、スイ(CV: 花守ゆみり)はザ・シギルって感じの派手な能力を使っている中で、カナメはせいぜい走っているか銃を構えているか程度で、特段すごいことはやっていないんです。

しかし、そんな彼の周りには人が集まってくる。カナメを演じるにあたり「人を惹きつける資質ってなんだろう」と考えたりもしました。それには能力がどうこうっていうのもあるんでしょうが、何よりも「冷静にその場所に居られる人」がそうなのかなと。落ち着いて物事を判断できる人が、このダーウィンズゲームにおいてはリーダーの役割に最も合っているって思うんです。だからこういう「カラーが無い」キャラクターこそ、主人公として映えると考えています。

「これまで演じてきた作品とはちょっと違う重責があった」

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―― カナメは1話からものすごい台詞量でした。やはり演じていて大変でしたか?

小林: 台詞量が多いのはもちろんですが、オンエアを見ている皆さんが飽きないかなという心配がすごくありました。台本2ページ分、ずっと同じキャラクターが状況説明をし続けている台詞を聞くって、退屈になったり苦痛に感じる人も出てきてしまうのではないかと。だから緊張の度合いにメリハリを付けたりとか、長い台詞にも変化を出す工夫をしました。

完成した1話をいざ見たら、絵や音楽などの演出が合わさって、しっかりと作品を楽しめるものに仕上がっていました。アニメという媒体だから助けられた気もするし、自分なりに頑張って工夫した成果だなと感じる出来にもなっていて。ただその工夫を毎話求められるというのが、これまで演じてきた作品とはちょっと違う重責があったと思います。

―― カナメは「カラーが無い」キャラクターだと捉えているとお伺いしましたが、求められる演技には非常に「カラーがある」と感じました。「カラーが無い」とは難しいものですね。

小林: そうですね。そう言われるとその通りかもしれません。いわゆる“無個性主人公”とも違いますから……。

シュカとの掛け合いで「全部持っていかれそう」になった

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―― 『ダーウィンズゲーム』で好きなキャラクターは誰ですか?

小林: シュカが好きです。……おもに顔が。中身までは………いつ何をされるか分からない感じが怖いので(笑)

シュカには女の子らしい面がしっかりあって、でも一般常識がどこか欠けちゃってるような部分もある。そのアンバランスな感じがすごい良いなって思ったし、アニメになって声が付いてから、より面白く出来上がっていったので、すごく素敵で好きなキャラクターだなと思っています。

―― シュカを演じるのは上田麗奈さんと聞いてどう思いましたか?

小林: ちょっと怖いなと思いました。まさにシュカと同じで、上田さんってどんなお芝居を持ってくるか、読めないんですよ。変化球を投げてくることもあるし、予想通りの演技をしてきたと思ったら強弱やニュアンスが少しだけ独特だったり。上田さんは背筋を凍らせるお芝居がすごく得意だと感じています。

序盤のカナメはシュカに良いようにされているので、アフレコ中は僕自身もしっかり芯を保たないと全部持っていかれそうになり、ただの情けない主人公を演じてしまいそうになりました。芯を保つのが大変そうだなっていうのが、実はアフレコが始まる前からちょっと不安ではありましたね。

―― (同日にインタビューを行った)上田さんは「直感で演技した」とおっしゃっていましたが。

小林: ……ああー。でも上田さんは、直感が他人とズレているので。褒め言葉ですよ?(笑) 上田さんの強みですよね。

「カナメはある意味でシュカ並みに“ヤバい奴”」

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―― カナメはルールさえ不明瞭なデスゲームに放り込まれましたが生き残り、やがてクランを結成します。作中で最も変化が大きいキャラクターだと感じたのですが、彼を演じる上で大切にしていることがあれば教えてください。

小林: 1話のバンダ君戦・シュカ戦まではまだルールもよく分からずアワアワしていますが、監督からは「しかしその段階のカナメであっても、最終的にはちゃんと巻き返せて逆転できる“底力を感じさせる何か”をそこはかとなく匂わせてほしい」というディレクションを受けています。

それは常に変わらず意識していますし、続く新たなデスゲームの中ではようやく状況も掴めて、生きるためにうまくやっていこうという意志が明確になっていきます。カナメが生まれ持った底力にプラスして、前に進んでやるぞという力強さが感じられるはず。話が進むと序盤よりもしっかりとした物言いをしたり、ちゃんと交渉をするための心構えを表すキャラクターに変化していきます。

(インタビュー実施日に収録した)7話まででゲームが始まってからまだ数日しか経っていないはずで、カナメはとても適応力のあるキャラ。……と考えると、カナメはある意味でシュカ並みに“ヤバい奴”ですね。順応力という強さはしっかり魅せたいと思っています。

―― 最後に、『ダーウィンズゲーム』原作漫画からのファン、アニメ化により作品を知ったファン、それぞれに対してのメッセージをお願いします。

小林: 漫画では冒頭で死んでしまうキョウダ(京田浩之、CV:小林千晃)がアニメでは生きていて、カナメと言葉を交わすことができた。原作ファンからしたらその違いにワクワクするでしょうし、アニメ1話では彼の行動にウルっとさせられるシーンもあって。

あと、漫画で重要なキャラクターとして登場した“警察関係者の2人”が、アニメでは出てきてないんですよ。ゲーム参加者同士の死闘と、それとは違うところで進む陰謀・画策という2つの視点を楽しめるのが漫画の面白さでした。

一方、アニメでは常にデスゲームにフォーカスされており、1つクリアしても次のゲームがすぐに始まるテンポ感にはまた別の魅力があると感じました。原作漫画が好きな方は、スピードがより増したアニメを新鮮に面白く思えるはずです。話が進むにつれ様々なシギル使いが現れるので、彼らのシギルがどういう風に表現されていくのかというのも、アニメを見る上で楽しみにしてもらえるポイントでしょうね。

そして、アニメにはオリジナル展開が含まれています。どちらかだけではなく、漫画とアニメの両方を是非とも楽しんで貰えたらと思います。

(取材・構成: あいひょん)

(C) FLIPFLOPs(秋田書店)/ダーウィンズゲーム製作委員会

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