ウグイス嬢に高額報酬提示する“河井方式”? 臨床心理士が指摘する「建前と実情が共存することの弊害」
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 通常国会が20日からスタートし、去年疑惑が浮上していた議員も国会に姿を見せた

 去年10月、地元の有権者に香典などを配っていた疑惑で、大臣就任からわずか1カ月半で辞任した菅原一秀前経済産業大臣。菅原氏はその後、臨時国会を欠席するなど姿を表していなかったが、通常国会の招集日となった20日、約3カ月ぶりに取材に応じた。冒頭で謝罪をした後、一連の疑惑については「当局から要請があれば真摯に対応したい」と繰り返した。

 去年10月に公職選挙法違反の疑いが浮上した後、適応障害を理由に国会を欠席していた河井案里参院議員も、約2カ月半ぶりに国会に姿を表した。河井議員は去年7月の参院選で、ウグイス嬢に法定金額の倍にあたる3万円の日当報酬を支払った疑惑がある。具体的な説明がなかった15日の会見に続き、今回も「捜査の中で事実関係が明らかになっていくと存じます。その事実関係を教えていただきながら、捜査の進展を見ながら、一区切りがついたところでみなさんに説明させていただければと思います」とした。

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 また、案里議員の夫の河井克行前法務大臣も20日午前、記者団の取材に応じ、「妻の病状もやや回復の兆しがあると、ずっと付き添っておりましたので、そういったことからも国会にしっかりと出席させていただいて、国会議員としての責務を一生懸命果たしていきたいと存じます」と述べた。案里議員同様、河井議員も15日夜に会見を開いたが、疑惑に対する具体的な説明はなかった。

 公選法違反の疑いが相次いだ彼らは、説明責任を果たすよう国会で厳しく追及されることが想定される。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「心理学で“光背効果”や“ハロー効果”などというが、『当局が』『捜査中』などいわゆる権威を示す言葉を使い、『今は説明できない』という趣旨を伴う自分の話が、あたかも正当性が高いかのように話している。このような場合、実際には『当局は話すことを止めていない』とする見方があったり、捜査機関への対応と国民への説明は別であるともいえるわけで、本人が保身に走っていると考えざるを得ない。説明すること=やってはいけないことを自分がしたんだと説明すること、と考えていると受け取られても仕方がない言い方だと思う」との見方を示す。

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 さらに、「政治家は建前と実情(本音)があることが当たり前になっているのではないか」と指摘。「法律スレスレのところで物品を提供したり、人件費を使ったりということが、今回取り沙汰されている議員以外にもあるのではないか。建前と実情を使い分けることが状態化している人は、正論や真実、守るべき法律よりも自分の経験や価値観を重視するようになっていく。政治家業におけるある種の慣習というものを踏襲していくと、結果的に法律に触れることもやってしまう可能性が出てくるし、次第に国民感覚からずれていくのではないか」と苦言を呈した。

 河井案里議員の疑惑に関して、河井事務所には通常の方法ではスタッフが集まらないため、他よりも高額な報酬で人員を確保する「河井方式」が取られていたという関係者の証言もある。藤井氏は「ウグイス嬢は議員活動の顔であったり、政治家自身のイメージの良し悪しに直結するため非常に重要視されている。上手なウグイス嬢の街宣は、認知度を高めるだけではなく、政治家本人と有権者のコミュニケーションのきっかけになったり、政治家が有権者と握手できる人数にも関わってくる場合がある。ただ、支払うことができる人件費は日当上限が1万5000円と決まっていて、それで午前8時~午後8時までの長時間の街宣活動となるとなかなか人が集まらない。そこで1人あたりの時間を短くして、複数人を雇って単価を上げるというテクニック的なことは行われているようだ」とした上で、「本当の意味で間接民主主義を担う政治家は、お金ではなく人望があるかどうかだと思う。選挙に強い人はそうだと思うし、『この人のためなら協力したい、汗をかきたい』と思わせるような信望のある政治家なら、ボランティアであったり、法定の上限内でやってくれる人がいるということなのではないか」と指摘した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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