勝利のため、もがいた姿がそこにあった。大和証券Mリーグ2019・1月23日の第2試合で、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)が親番一気の攻勢を決め、今期5勝目を獲得した。
この試合の対局者はセガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)、EX風林火山・滝沢和典(連盟)、萩原、U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)の並びでスタート。萩原は中盤で跳満の親被りなどもあり、5局連続失点の劣勢を強いられた。
再びチャンスが訪れたのは南3局の親番。好手牌を得ると淀みなくテンパイし即リーチ。これをツモってリーチ・ツモ・タンヤオ・平和・裏ドラ2の1万8000点を獲得。4着目から一気にトップ目へ立った。
次局には、勝利のため萩原のスタイルチェンジが見られた。役牌トイツ2組にドラや赤もある好配牌に恵まれると、これをなんと役牌からではなく6筒からポン。いわゆるダブルバックの形に構えた。本来、高打点を目指し、満貫以上のアガリとなるよう構えるのが萩原のスタイル。しかし、この仕掛けは2組ある役牌トイツのいずれかが雀頭となるため、5800点となる可能性が非常に高い。これには解説の土田浩翔(最高位戦)も「ええ~5800で抑えちゃった、あれ~」と不可解さを感じるリアクションだった。
すぐに片方の役牌である發をポンし5・8索待ちのテンパイ。萩原の捨て牌は3枚あるのに対し、子方3人の河は1枚も置かれていない珍しい景色が完成した。滅多にない萩原のこの仕掛けはテンパイ&ミドル級以上の打点がほぼ確定のため、誰もこの手に勝負を挑めない。萩原はこれをツモって6000点(+300点)の加点に成功し、リードをさらに広げた。
オーラスは滝沢が逆転を狙った七対子のリーチ、裏ドラが乗れば萩原はマクられてしまう危機も、ツモられた手に裏ドラはなし。萩原はほっと胸をなでおろした。
インタビューでは「このところ、ファイティングポーズも取れていなかった」と直近の対局を振り返り、「今日はとにかく前に出ようという気持ちでいったのがよかった」と心の内を説明した。
チーム創設時にドラフト1位指名、プロ雀士として、さらには俳優というエンターテイナーとして、ただ勝つだけでなく「魅せる麻雀」で勝つことを常に口にしていた萩原。この日は仕掛けて速攻、本来と異なる泥臭い攻めも見せた。高打点のリーチや役満に注力する傾向をファンからは大きな夢を追いかけすぎだという声も多数寄せられ、それに対して萩原も「叩かれるようになって嬉しい」と、自らの麻雀の技術、戦いぶりが、競技として注目されたことを喜んでいる一面もあった。
とはいえ結果あってのプロ。この日はアガリやすさや「勝利すること」自体に執着し、スタイルを変えた。これまでの萩原とはまた一味違う「魅せる麻雀」はこの日のコメントも沸かせ、セミファイナルへ向けてチームの機運を高めることにも成功した。この春、リーグを制し、ファンと一緒に優勝を喜ぶその瞬間まで、萩原は必死にもがき、勝利を求め続ける。
【2回戦結果】
1着 TEAM雷電・萩原聖人(連盟)3万4200点/+54.2
2着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)、3万2000点/+12.0
3着 U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)1万7700点/▲22.3
4着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)1万6100点/▲43.9
【1月23日終了時点での成績】
1位 セガサミーフェニックス +320.6(64/90)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +275.6(62/90)
3位 TEAM雷電 +133.0(64/90)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +27.4(62/90)
5位 U-NEXT Pirates ▲10.6(64/90)
6位 渋谷ABEMAS ▲40.5(62/90)
7位 EX風林火山 ▲168.0(64/90)
8位 赤坂ドリブンズ ▲537.5(62/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)






