名門ゆえの大記録 佐渡ヶ嶽部屋、足掛け56年の幕内力士維持が来場所も濃厚に 歴代1位は高砂部屋の123年
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 大関経験者で今場所は前頭十三枚目の琴奨菊が初場所14日目、石浦を寄り切って、幕内勝ち星を700勝とした。歴代10位の記録となるが自身と2位の魁皇を除けば、上位10傑には白鵬、千代の富士、北の湖ら、錚々たる横綱の名が全てを占める。それほどに偉大な記録である。

 しかし、このメモリアルな白星はそれとは別に大きな意味を持っていた。番付が下に四枚しかない琴奨菊はすでに負け越しが決定しているが、この日の白星で6勝目となり来場所の幕内残留をほぼ確実にした。

 35歳の元大関を含め、所属する佐渡ヶ嶽部屋の今場所の幕内力士は琴勇輝と琴恵光の3人となるが、前頭三枚目の琴勇輝は全休、琴恵光も平幕の十三枚目ですでに12敗となり、両者は来場所の十両への陥落が決定的。同部屋はのちの横綱で先代佐渡ヶ嶽の琴桜が再入幕を果たした昭和39年(1964年)九州場所以来、現在に至るまで足掛け56年にわたり、幕内力士が途絶えたことがない。十両二枚目の琴ノ若はすでに7敗で千秋楽に勝ち越しても来場所の新入幕は微妙な情勢であることから、琴奨菊の踏ん張りで記録消滅危機はひとまず回避されたと言えよう。

 ちなみに佐渡ヶ嶽部屋は昭和51年(1976年)夏場所、部屋唯一の幕内力士だった元関脇長谷川が引退したが、翌場所で琴ヶ嶽が新入幕を果たし、何とか記録は継続。琴ヶ嶽は幕尻で8勝7敗と勝ち越して“延命”となったが、翌秋場所は5勝10敗で十両に転落。再びピンチに陥るも九州場所で琴ノ富士が再入幕。その琴ノ富士も1場所で十両へUターンとなったが、翌52年初場所で琴風が新入幕に昇進するという“綱渡り”で最大の危機を乗り切った。

 佐渡ヶ嶽部屋に次いで春日野部屋も昭和42年(1967年)九州場所、先代の栃東が再入幕して以来、幕内力士を維持。継続中の記録としてはこの2部屋が突出している。

 しかし、最長記録となると明治11年(1878年)から平成13年(2001年)まで123年続いた高砂部屋となり、2位は出羽海部屋の明治32年(1899年)から平成11年(2009年)までの100年。大記録更新までは佐渡ヶ嶽、春日野の両部屋ともにあと半世紀以上を要することになる。

▶映像:佐渡ヶ嶽部屋の元大関・琴奨菊の一番(23分ごろ)

琴奨菊が幕内残留の濃厚にした一番
琴奨菊が幕内残留の濃厚にした一番

▶映像:初場所注目の取組を一気見「大相撲ダイジェスト」

2020年 大相撲一月場所 - 大相撲ダイジェスト
2020年 大相撲一月場所 - 大相撲ダイジェスト