大和証券Mリーグ2019・1月28日の2回戦で、渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)が、およそ3カ月ぶりとなるトップを取り、目頭を熱くした。
対局者は起家からEX風林火山・勝又健志(連盟)、KADOKAWAサクラナイツ・岡田紗佳(連盟)、松本、U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)。
東1局、松本は親番・勝又のヤミテンにつかまり、1万2000点の放銃からスタートした。ここまで勝利の女神に見放され続けていただけに「またか」と敗北のイメージが脳裏をよぎったが、すぐに顔を上げ、東1局1本場でリーチ・ツモ・平和・赤・ドラで8000点(+300点)をアガって戦線復帰した。
勝負どころとなったのは南3局の親番だった。勝又からは仕掛け、岡田からはリーチが飛んでくる中、14巡目にテンパイを入れた松本は、間髪入れずにリーチに踏み切った。松本の待ち牌だった5・8万は岡田の河に切られていたが「(ヤミテンで)2900点アガっても現状維持で3着もある状況。1万2000点をツモった時は、トップに手が届く」と真っ向勝負し、見事にリーチ・平和・赤・裏ドラで1万2000点(+1000点)に仕上げトップ目に立った。解説の赤坂ドブンズ・鈴木たろう(協会)も「勝負どころと見て2900点を4倍にしましたね」とその勝負魂を讃えた。
だがトップ目に立ってからは「時間が止まったように長くて」と感じるほどの正念場が続いた。南3局1本場は勝又と朝倉がせめぎ合い、2人テンパイで流局。続く南4局2本場では、朝倉が親満1万2000点(+600点、供託1000点)を決め、松本は1万800点差の2着目に後退した。
続く南4局3本場。満貫ツモか、朝倉から5200点直撃というトップ条件が残った松本は、ドラ4索トイツの配牌をもらった。2巡目に4索を暗刻にすると、がむしゃらにアガリを目指し、タンヤオ・ドラ3で8000点(+600点)を朝倉からアガり、待望のトップをつかみ取った。
勝者の陰には敗者がいる。松本はこの日まで17試合に出場し、▲269.1で個人スコア29人中最下位に沈んでいた。今シーズンの初トップは、さかのぼること2019年11月1日。思うように結果が出せず、卓上で涙した日もあった。
「僕みたいな若造が落ち込んだり、悔しがったりするのが、情けない気持ちでいっぱいだった」と若武者と呼ばれる20代Mリーガーはこの3カ月間、敗北と正面から向き合い、ふがいない自身の心境を、あえてSNSで伝え続けていた。もがき、苦しむ胸のうちをさらけ出したのは、その一挙手一投足が注目されていることをわかっていたからだ。
勝利者インタビューでは「ポイントがマイナスしていた中でたくさん得られたことを、これからの戦いに活かさなければ負けた意味がない」と涙をこらえると、ファンも「もう泣きそう」「本当いい奴」「がむしゃらな仕掛けが最後に呼び込んだな」と共鳴した。若武者は苦悩を糧に戦い抜くことを、苦しい時期を支えてくれたサポーターとチームメイトに心の底から誓った。【福山純生(雀聖アワー)】
【2回戦結果】
1着 渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)4万5600点/+65.6
2着 U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)3万8600点/+18.6
3着 EX風林火山・勝又健志(連盟)1万7700点/▲22.3
4着 KADOKAWAサクラナイツ・岡田紗佳(連盟)-1900点/▲61.9
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
【1月28日終了時点での成績】
1位 セガサミーフェニックス +317.0(66/90)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +130.5(66/90)
3位 TEAM雷電 +55.4(66/90)
4位 U-NEXT Pirates +18.2(66/90)
5位 渋谷ABEMAS ▲6.9(66/90)
6位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲72.1(66/90)
7位 EX風林火山 ▲139.5(66/90)
8位 赤坂ドリブンズ ▲302.6(66/90)
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)







