2003年に流行したSARSを上回るスピードで世界に広がっている新型コロナウイルス。日本でも中国・武漢市での滞在歴がないバス運転手の男性、さらに男性と一緒に仕事をしていた大阪のツアーガイドの女性の感染が相次いで確認され、国内でもヒトヒト感染のケースが出現している。
29日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演したナビタスクリニック理事長の久住英二医師は「ツアーガイドの女性のようなケースも全国津々浦々で生じてくるというフェーズに移っている。また、日本はインフルエンザの流行期なので、私のところにも“風邪をひいた”ということで受診される方が多いが、どの方がどの感染症なのかが区別できていないので、2次感染、3次感染が広がっていけば、院内感染も現実化すると思う。その意味で、私も新型コロナウイルスに感染した方と対面しているかもしれない。怖いといえば怖いが、怖がっていても仕方がない。感染者数の増加の激しさに比べ、亡くなる方の数についてはそこまでの急激な上昇がなく、死亡に至らないような状況や軽症の方が増えている。確かに感染者数としてはSARSを超えているかもしれないが、現状では致死率や重症化率はそこまでではない可能性がある。だからこそ、中国から人を来させないようにしようということではなく、罹った時にどう治療するのか。あるいはワクチンの開発をいかにスピードアップしていくかが重要だ」と話す。
では、すでに死者も出ている上海の様子はどうなのだろうか。現地在住の藤田康介医師は「街は比較的平穏。まだ春節の休みが完全には終わっていないので、人通りもあまりない。ただ、非常に厳しい規制も行っていて、検問所を設けて、どこから来たのか、乗っている人の体温が正常かどうかをチェックしたり、発熱患者が出た場合は市内に110カ所ある発熱外来に送ったりするなど、きめ細かな対策が行われている」と話す。
また、藤田医師は情報発信と情報収集について「政府が全員の番号を把握しているので、何かイベントや注意しなければならないことがある場合は、一斉にメールが飛んで来るようになっている。今回も毎日のようにスマホにショートメッセージが入ってきていて、まずは清潔に保つこと、そのためには手洗い、部屋の換気、人混みに行かないといった基本的なことを徹底してほしいと呼びかけている。また、道路の封鎖や博物館の閉鎖など、生活に必要な情報も入ってくる」と説明。その上で、「ネット上にはデマも非常に多く、“日本から1000人の医療チームが武漢に行く”というものも流れた。そこで政府や関係機関がデマ対策用のページを作っている。また感染症の専門家が、自分たちがやってきたこと、これから注意しないといけないことをまとめ、新聞やテレビなどのメディアに流しているので、私も勉強させてもらってる。こういう試みはすごいなと思う」と明かした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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