「ファンの不安を払拭したい」DDTとの関係は? 新首脳陣に聞くノアの“これから”
【映像】ABEMAでみる

 1月29日の記者会見で、プロレスリング・ノアのサイバーエージェントグループ入りが発表された。サイバーエージェントはDDTに続き2つのプロレス団体を傘下としたことになる。ノアは昨年、リデット・エンターテインメント社のもとで団体再建を進め、ここでまた新たなスタートを切る。

【映像】記者会見の模様

 新体制ノアの社長に就任したのは、DDTの“大社長”こと高木三四郎氏。サイバーエージェント・藤田晋社長に経営手腕を買われてのことだ。副社長にはノアの看板選手である丸藤正道。現社長の武田有弘氏は執行役員となる。

 DDTとノアの組み合わせは“水と油”のようにも思えるが、これから何が起こるのか。どんな未来が描かれていくのか。会見直後、高木、丸藤、武田の3氏を直撃した。

(聞き手/橋本宗洋)

――会見おつかれさまでした。さすがにみなさん、ホッとした表情をされてますね。

丸藤 特に一番、大変だったのは武田さんだと思います。

武田 もう、やる気しかないですね。絶対成功させますよ。ありがたいのは経営面、資金面の心配がなくなったことで。僕はもともと現場の人間ですから。「業界で最初に〇〇をやった」みたいなことが好きなんです。これからあらためて、そういうものを作りたいですね。

丸藤 周りの人たちがノアのために動いてくれた。その感謝が大きいですね。ここから僕たちが頑張ることが恩返しだと思ってます。業界トップに行けるように頑張るしかないなと。その気持ちは固まってます。

高木 傍目から見て、ノアの選手がプロレスに集中できる安定した状態なのかどうかっていうのは気になっていたんですよ。そんな時に武田さんとお会いして、最初は他愛もない話から始まって。どちらからともなくこの話(サイバーエージェント入り)になりました。正直、話がまとまる確率はそんなに高くなかったと思います。でも何か成し遂げないといけないなと。会見でも言いましたけど、ノアさんのリングに上がらせてもらって、DDTが大きくなったという恩義があるので。何かできればという思いと、プラス自分たちも今のままでいいのかなと。

――これまで、お互いの団体にはどんなイメージを持たれていましたか?

丸藤 DDTさんには明るく楽しいイメージがあるんですけど、メインどころ、大事な部分はしっかりしたプロレスで締めますよね。一般のお客さんが入っていきやすい状況をうまく作っているなと感じていました。ただ、それを単純にノアで真似すればいいというわけでもないと思っていましたし。

――そこは選手の個性もありますし。

丸藤 僕は自由なスタイルなので、DDTさんに出ても楽しくできるんですけど、ノアの選手が全員、無理やり合わせる必要もないですから。今、ノアのファンの人たちが一番心配しているのは「ノアのプロレスのスタイルが崩れてしまうんじゃないか」ということだと思うんですよ。それは一切ないです。むしろ今まで以上にプロレスに集中していくことによって、試合はより激しくなっていくんじゃないですか。リング上がDDTさんとごちゃまぜになることはないと伝えたいです。

――同じグループだけれども、あくまで別団体だと。

高木 そうです。DDTの中に東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスっていう団体もあるんですけど、中身についてはそれぞれの責任者に任せていますし。会見ではこの言葉は使わなかったですけど、僕がよく言う「丸投げ」ですね(笑)。

――大社長イズムですね(笑)。

高木 これを会見で言うかどうか迷ったんですけど、雰囲気に呑まれちゃって(笑)。27日に『まっする』っていう大会もあったんですけど、内容に関しては事前に何も聞いてなかったですから。(大会の中で)DDTのことを「サイゲームスの親会社の子会社」とか言ってるからゾッとしちゃって(笑)。

――「匂わせ」かと(笑)。

高木 実際、プロレスをコンテンツビジネスとして考えると、各団体のカラーが違うほうが面白いんですよ。その中で資産に関してはうまく共有して構築していけたらと。たとえば道場だったり事務所だったり、経理的な部分であるとか。もちろん、ファンからすればリング上がどうなるのかが一番気になると思います。そこは「混ぜるな」という声もあるし、逆に「対抗戦をやってくれ」という声もあるし。そこは僕としてはそれぞれの現場に任せてますから。僕が何かいじるということはないです。

――DDTの竹下幸之介選手は、さっそくノアの清宮海斗選手との対戦を希望するツイートをしてましたね。

丸藤 その試合が実現するかどうかっていうのは、特に今回の件とは関係ない気がします。話題にはなりやすいですけどね。だって、今までだって僕がDDTさんに上がらせてもらっていたし、DDTさんの選手にノアに出てもらうこともある。闘いたい相手がいるならアピールすればいいっていうのは、前から一緒ですよね。

――今回のことで急に可能性が出てきたわけじゃなく、可能性は前からあると。

丸藤 そうなんですよ。以前は何か障壁があったかって言ったら、特にないので。

――リング外の部分ではどう変わっていきそうですか?

高木 大事なのは資産を残すっていうことですね。僕ら(DDT)は昔から映像にもの凄く力を入れていて、旗揚げ当時からの映像が全部残っているんですよ。そういう資産を一緒に作り上げていくっていうところに注力していきたいですね。

――ノアは昨年からSNSでの細かい映像配信を行なっていて、ファンに好評です。そこは続けられますか?

武田 (高木に)そこも「丸投げ」で大丈夫ですか?

高木 はい、丸投げで(笑)。逆にノアのSNSスタッフのみなさんにはDDTもお手伝いしてもらえたらと。

武田 中継も「G+」、「サムライ」に「AbemaTV」と「DDT UNIVERSE(DDTの映像配信サービス)」が加わるので充実すると思います。

――DDT UNIVERSEは海外、「AbemaTV」では一般の若い層の目に触れる機会も増えそうです。

丸藤 リング上の闘いに関しては自信を持ってやっているので「これがプロレスだ」っていうものを見てもらえると思います。そういう試合を日々、続けていくだけですね。ウチらにとってチャンスしかない。若い選手の知名度はまだまだこれからですし。

――藤田社長からは「DDTは面白い、ノアはカッコいい」というイメージだという言葉がありました。

丸藤 素直に嬉しいですね。藤田社長はまだノアについてそこまで詳しいわけじゃないと思うんですよ。そういう方のファーストインプレッションが「カッコいい」なのであれば、そこは大事にして、磨いていきたいなと思います。

――昨年のノアを見ていると、団体としてのブランド力や熱気が高まっているのを感じました。そのタイミングでのサイバーエージェント入りでもありますね。

武田 救済、支援をいただいたのも大きいですし、それはノアにコンテンツとしての価値がなかったら難しかったのかなと思います。去年1年で集客も上がっていますし、いいタイミングでもあったのかなと。ホップ・ステップ・ジャンプの「ジャンプ」の時期だと感じています。

――去年は「脱・三沢」というワードが話題になりました。ロゴやマットの色も変わって。今回、このタイミングで変えたいことはありますか?

武田 その辺は基本的に整っていると思います。あとは高木社長も言われてましたがスポンサーさん。今はあえて入れてないのですが、マットにスポンサーロゴが入ることはあるかもしれないですね。

――丸藤選手は副社長に再就任ということになります。

丸藤 そうなんですけど、経営的な面は高木社長に丸投げで(笑)。やっぱりノアが変わっていくことに不安を感じる人もいると思うので、僕がこの位置にいることで安心してもらえたらと。今回のようなありがたいお話の中で、ファンが不安に感じるようなことがあったら、それは払拭したいですから。

――前回、三沢(光晴)さんが亡くなってからのノアで副社長に就任された時とはだいぶ違う感覚になりますか。

丸藤 歳を取って、多少なりとも経験を積んできたので。逆にこの年齢とキャリアになって新しいものを身につけられるのは自分にとってもプラスだと思ってますね。前回、副社長になった時には不安しかなかった。できるだけ自分に責任が及ばないように、みたいな感じがあったし、それでいてリング上では一歩引いちゃったところもあって。逆に今回は高木さん、武田さんという相談できる人がいるので。選手としても一歩、二歩、三歩、前に出るくらいのつもりでいます。

――そこもファンにとっては不安かもしれません。副社長になることでリングの最前線からは引いていくんじゃないかと。

丸藤 今回はないですね、それは。むしろ前に出やすい。逆に僕が心配ですよ「副社長のくせに出しゃばるな」とか言われるんじゃないかって(笑)。やっぱりレスラーなんでね、ワガママにいきたいところもあるので。

――前に出る丸藤正道を止めるなと。

高木 そこは私の経営責任のもとでしっかりやりましょう(笑)。あとは丸藤さんのTシャツを作りたいですね。「副社長」Tシャツ。

――いいですね、高木さんの「大社長」Tシャツばりに。

丸藤 え~!(笑)。売れます?

高木 絶対売れます(笑)。そういえばAEWのケニー・オメガも副社長なんですよ。

丸藤 あ、じゃあプレゼントして着てもらえばいいんだ。

高木 そういう世界戦略もアリですね(笑)。

【映像】記者会見の模様

プロレスリング・ノア記者会見 | 無料のインターネットテレビは【AbemaTV(アベマTV)】
プロレスリング・ノア記者会見 | 無料のインターネットテレビは【AbemaTV(アベマTV)】