新型コロナウイルスの感染が世界的に広がりを見せ、日本でも14人の感染が確認されている(31日12時現在)。
東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授に今後の対策や予防について話を聞いた。
まず、日本国内での感染拡大について浦島教授は「日本人の間で人から人に効率的に感染が広がっているという状況ではまだない」とし、現状は「主には武漢・中国方面から観光で来ている人たちの中で新型コロナウイルスによる肺炎と診断されている人がほとんどだと思う。チャーター機で(武漢から)帰ってきた日本人は症状がなくて陽性だったとか、軽い症状で陽性だったとか、バスの運転手さんは武漢の人から感染したとか、今のところ『武漢』というところがキーワードになっていて、そことリンクしている人だけが日本国内で発症している状況」と解説した。
現在、新型コロナウイルスへの感染を確認するための遺伝子検査を受けるには「せきなどの呼吸器異常」「37.5度以上の発熱」「武漢への滞在歴など」の3条件すべてを満たす必要があるが、今回チャーター機で帰国した日本人は一律で検査が行われたため、無症状の感染者を発見することができたが、武漢から自力で帰ってきて無症状だった場合は感染の可能性があるにも関わらず遺伝子検査が行われないことになる。このことについて浦島教授は以下のように述べている。
「実際はまったく症状がなくてもウイルスを持っている人もいるし、熱がなくてせきだけでも陽性になることもある。(新型肺炎は)多くの未知数が含まれているので、できればもうちょっと(検査の)敷居を低くしてほしい。検査体制の準備がまだ整ってないのだと思うが、(準備が整えば)武漢から来た人は無条件で検査したほうがいいと思う」
浦島教授によると、同じく中国で発生し世界的に流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」は「症状が出てから、特に発熱してから5日くらいしてから感染力が強まるということがあり、入院してから感染力が強まるということがあったので院内感染が多かった。病院の中で封じ込めることが重要だった」という。
しかし、今回の“新型肺炎”の場合はそれとはまったく異なり「今回の難しいところは病院で診断が出た時点で1週間くらい経っていることが多いので、それまでに他の人に感染させてしまっていると、その時点で隔離しても感染拡大を止められない。今回無症状の人がウイルスを持っている(場合がある)とわかったので、封じ込めることは困難というかほとんど不可能なんじゃないかと思う」と、より対策が難しいとの見解を示している。
浦島教授は“新型肺炎”の予防について「(インフルエンザと)感染力も同じくらいで感染様式(飛沫感染)も似ているので、基本的にはインフルエンザの予防と同じで問題ない」とし、罹患してしまった場合は「早期に診断されて早期に治療を開始すれば回復する可能性がかなり高まると思うので、心配せずに疑わしい場合は早期に診断を受けることが大切です」と話している。
(AbemaTV/「けやきヒルズ」より)
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