「僕は相当MMAの試合を観ているけれど、ローブローで止まる女子の試合をはじめて観ました」
1月31日にフィリピンで開催されたONE Championship「ONE: FIRE & FURY」。女子アトム級のジェニー・ファン(台北)とジョマリー・トーレス(フィリピン)のオープニングマッチは、放送席も戸惑いを隠せない結末。女子の試合で下腹部へのローブローを立て続けに受けた選手が試合続行不可能を訴え、没収時合になる珍事が起きた。
トーレスとファンは共に日本のV.V Meiに敗れており、ONEにおいて再浮上を狙う女子軽量級の中堅クラスの対決。試合開始1分、ケージ際に押し込んだファンが左右のヒザを打ち込むと、苦悶の表情を浮かべたトーレスがレフェリーに下腹部への攻撃をアピール。すぐさま試合が中断になると、場内のファンは状況を理解できず一時騒然となる。
女子MMAの試合では珍しいローブローでの中断に、AbemaTVで解説を務めた大沢ケンジ氏も「男の人の下腹部(の攻撃)は世界共通でみんなため息がでる。ただ女性の場合だと痛いのかな……」と素朴な疑問を漏らした。
5分の回復タイムから、パンチの打ち合いで試合再開。再びファンが組合いからケージに押し込み、両者腹部めがけてヒザを叩き込む攻防が展開されたが、ここで再びトーレスが顔をしかめながらローブローをアピール。トーレスの度重なるアピールに、ファンは首を振りながら困惑気味だ。
不測の事態を受け会場に不穏な空気が漂うと、実況の清野茂樹アナも「女子の試合はレフェリーも女子のほうがいいかもしれませんね」と困惑コメント。偶然にもこの日のゲスト解説はSKE48の松井珠理奈。大沢氏が「言いづらいんですけど、女性も痛いんですか?」と質問を投げかけると、松井は「痛いですよ(笑)」と即答。さらに質問が確信に迫ると、清野アナが「この方のご職業ご存知ですか? アイドルですよ!」とたしなめる場面もみられた。
試合はその後、合計10分の中断を挟んだ結果、無効試合(ノーコンテスト)に。待たされた挙句、消化不良の観客からはブーイングが起こった。
女子MMAでの前代未聞の結末に、大沢氏は「僕は相当MMAの試合を観ているけれど、女子の試合がローブローで止まる試合をはじめて観ました」と改めて珍しいケースであることを強調していた。