大和証券Mリーグ2019・2月3日の1回戦、南3局では1枚の發をめぐって、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)とKADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)が手に汗握る凄まじい攻防を繰り広げた。
今シーズンすでに役満・四暗刻もアガり、粘り強い打ち筋からマムシという異名を持ち、最近は大蛇とも恐れられている沢崎の大三元気配に、圧倒的な攻撃力を誇る魔王こと佐々木が果敢な鳴き仕掛けで、裸単騎で立ち向かったのだ。
対局者は起家からセガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)、佐々木、U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)、沢崎。
南3局、佐々木は2万2900点持ちの2着目、沢崎は2万700点持ちラス目。トップ目だった石橋は3万3800点持ちだったため、2人ともオーラスを前に加点したい場面だった。
佐々木の配牌は自風の北とドラ3索がトイツ。沢崎の配牌は、發がトイツで白と中が一枚ずつ。第一ツモは白だったため「これ大三元あるぞ」と視聴者をざわつかせた。まずは沢崎が第1打で切った北を北家の佐々木がポン。
沢崎の第2ツモは中だったのでトイツとなり、同巡に魚谷が切った中を間髪入れずにポン。佐々木が4巡目に2度目の仕掛けを入れて切った白もポンし、場の緊張感は一気に高まった。
だが佐々木がひるむことはなかった。5巡目に3副露目となる仕掛けを入れ、6巡目にカン七万待ちのテンパイ。さらに佐々木は、9巡目に沢崎から切られたドラ3索を果敢にポンし、八万の裸単騎待ちに構えた。「これなら發が来ても發で待てます。平然としてますね」と解説の土田浩翔(最高位戦)が言う最中、次巡に發を持ってきた佐々木は、發の裸単騎に待ち変えした。
一方、沢崎は15巡目に石橋から切られた2筒をチーし、9索と發待ち、發でアガれば大三元というテンパイを入れた。
勝負が決したのは16巡目。アガったのは裸単騎のドラポン佐々木ではなく、大三元テンパイの沢崎でもなく、自風の西が暗刻で赤牌3枚を抱えたもう一人の勝負手、魚谷だった。2人の大物仕掛けにも動じず、カン六万のテンパイで西・赤3で8000点を佐々木からアガったが「いい局だったな」「久しぶりに見た裸単騎」と卓上で生まれた濃厚なドラマには、視聴者も感動していた。
振り返れば佐々木は2009年、メディア対局初登場となったCS放送MONDO TVの第9回モンド21杯でも裸単騎待ちを敢行し、鮮烈なデビューを飾った逸話を持っている。
六万か發、どちらを切っても絶体絶命の状況下、結果的には魚谷に8000点を放銃したことで沢崎の大三元3万2000点を防いだわけだが、勝っても負けてもブレることのないその存在感を存分に示した。
魔王VS 大蛇。大型パブリックビューイング・プレミアムナイトに詰めかけた900人超のファンや、全国で見ているファンに語り継がれるような「發」1枚を巡る攻防。
解説の土田浩翔(最高位戦)も「一流プロに育っていく間に、先輩や同世代からいろいろな影響を受けて、いろいろな情報をインプットされながら成長していくんですけど、その情報量の多さに手が縮こまるシーンが結構出てくる。それなのに寿人はずっと同じスタイルで、その情報に負けず、吸収しながらも貫いていける。こういうタイプのプロのお手本ですね」とその不動心を賞賛した。【福山純生(雀聖アワー)】
【2月3日終了時点での成績】
1位 セガサミーフェニックス +353.1(70/90)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +99.9(70/90)
3位 TEAM雷電 +53.9(68/90)
4位 U-NEXT Pirates +37.9(70/90)
5位 渋谷ABEMAS ▲16.1(68/90)
6位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲93.1(70/90)
7位 EX風林火山 ▲141.9(68/90)
8位 赤坂ドリブンズ ▲293.7(68/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)







