大和証券Mリーグ2019・2月25日の2回戦、KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)が、結果こそ四暗刻単騎へ振り込み、箱下ラスとなった。しかしそこに行き着くまでのチーム戦ならではの戦いぶりには、多くの麻雀ファンから喝采が送られた。
対局者は起家からTEAM雷電・黒沢咲(連盟)、赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)、内川、EX風林火山・勝又健志(連盟)。レギュラーシーズン最終盤、この日の試合前、+87.5で3位だったKADOKAWAサクラナイツのチーム目標は、勝利であることは言うまでもないが、マイナス域へ転落する危険もはらんでいたため、7位だった赤坂ドリブンズにトップを取らせないことも大事なテーマとなっていた。
試合は村上が優位に進め、途中から劣勢に立たされていた内川は、とにかく村上にトップを取らせない戦いに徹していた。
村上トップ、勝又2着で迎えた南4局。内川は持ち点1100点のラス目だったため、まずは勝又がトップ目に立った状態から、3着目だった黒沢をまくりにいこうと判断。勝又にテンパイが入っていないとみるや、17巡目に勝又からポン。解説の渋谷ABEMAS・白鳥翔(連盟)が「ポンをして勝又さんのツモ番を増やしに行ったんですね」と言う通り、勝又のノーテン気配を察知していた内川は次巡に5索を切り、思惑通りに勝又にチーをさせ、テンパイさせることに成功した。そして南4局1本場、内川が望んでいた通り、勝又が村上から2900点(+300点)を直撃してトップ目に立った。
迎えた南4局2本場、内川は16巡目に白・赤2・ドラ4をテンパイし、黒沢からアガれれば、勝又トップのまま、自身の着順もアップ出来る条件を作った。その直後に勝又から当たり牌だった7筒が打たれたが、勝又からアガってしまうと村上をトップにさせるだけでなく、自身の着順も変わらないため見逃した。
しかし内川が最後のツモ番で持ってきたのは西だった。この西は、四暗刻単騎待ちでテンパイしていた黒沢の当たり牌。熟考の末、テンパイ流局に持ち込んで次局に勝又トップのまま自身の着順アップ条件を残すべく西を打牌。結果、黒沢に役満放銃となってしまったが、黒沢が逆転トップを取ったことで、赤坂ドリブンズにトップを取らせないという目的は果たした。
数字の上でも、内川が勝又からアガった場合と、黒沢に役満を振り込んだ場合を比較しても、追いかけてくる赤坂ドリブンズとの差は後者の方がポイントは詰まらない。長期リーグ戦、さらにチーム戦という状況を適正に判断した結果、振り込んだものが運悪く役満だったということ以外は、イメージ通りだった。
対局後、内川はTwitter上で「次局の条件が少し緩和するのに甘え、打ちました」と自身の心情を吐露した。このコメントにファンからは「過酷な運命はスターの宿命!!」「プロとしての意地は凄い」「勝又さんに連荘させる立ち回りはしびれました」など、数多くの賞賛が寄せられた。
役満を振り込んだ悲劇のヒーローに転じた内川だったが、その勇気ある闘牌は、ファンの心に確実に刺さっていた。【福山純生(雀聖アワー)】
【2月25日終了時点での成績】
1位 セガサミーフェニックス +422.4(82/90)
2位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +152.2(82/90)
3位 TEAM雷電 +59.0(84/90)
4位 渋谷ABEMAS +42.7(82/90)
5位 KADOKAWAサクラナイツ +6.6(84/90)
6位 U-NEXT Pirates ▲78.0(82/90)
7位 赤坂ドリブンズ ▲149.6(84/90)
8位 EX風林火山 ▲475.3(84/90)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)








