「企業や団体におかれては、発熱等の風邪症状がみられる職員等への休暇取得の勧奨、時差出勤やテレワークについて強力に推進いただくようお願いする」(25日、安倍総理)。政府が新型コロナウイルスに対する基本方針を打ち出して以降、在宅勤務など、企業の対応が加速している。
しかし、ネット上には「休めるのは“上級国民”だけ」「補償もないのに休めとはいかがなものかと」「コロナにかかるより、仕事や収入がなくなる方が怖い」といった声も少なくない。エッセイストの小島慶子氏は休校の動きも広がっていることを踏まえ「感染が広がらないように休校にしているわけで、その間に学童保育に預けてしまえば、また子どもが集まってしまうことになる。かといって、ベビーシッターを何時間も雇える家は限られていると思うし、共働きの家は本当に困る。どちらかの親が休むかという話になってくる」と訴える。
24日から新型コロナウイルスに関連する相談窓口を設けている労働組合の「ジャパンユニオン」には、「飲食業や小売店“マスク禁止”。お客が不安がる。接客業でお客様に失礼だとの理由で着用できない」、「軽微な風邪でも“自主的に休まされる”。給料が減ると生活できない」(パート勤務)、「時差出勤を勧められ、正規社員は給料が変わらないが、契約社員は時短分の給料を減らされる」(サービス業の契約社員)、「感染したら会社で働けなくなると上司から言われた」等、3日間で73件の相談が寄せられているという。
休暇・賃金補償に関しては、風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続くなど感染の疑いがある場合、2通りある。会社の指示で休んだ場合は「休業手当(労基法)として平均賃金の6割以上を支払う。非正規雇用(日給・時給)も同じ」、自主的に休んだ場合は「企業独自の病気休暇制度、年次有給休暇制度、傷病手当金(被用者保険に加入し一定の条件が必要。標準報酬日額の3分の2)」ということになっている。
ジャパンユニオンの菅野存執行委員長は「“見栄えが悪い”“スマイルが見えなくなる”と言った理由でマスクをつけさせてもらえないという相談があった。会社との力関係の中で、睨まれると立場が危うくなると感じている労働者がいることが見えてくる。そして、会社から強制的に休まされたにも関わらず給料が支払われない、あるいは補償してもらえないといった類の相談が多いように思う。会社の都合で休ませたら給料の6割を少なくとも補償しなさいと労働基準法に定められていて、それは非正規やアルバイトでも適用される。また、正社員の方は時差出勤やテレワークでも給料は変わらないが、非正規の方は出勤時間を遅らせば給料もその分だけ減る。“no work, no pay”、つまり働いていないから給料は払わないということだが、それは非正規労働者に対する差別だと思う。コロナのリスクや症状は正社員も非正規労働者も同じ。待遇も等しく同じにすべきだと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶映像:「コロナにかかるより収入が減ることのほうが怖い」政府基本方針に悲鳴
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