「人間だけが楽しむのはエゴ。命を頂く場合も、より良く生きられるよう配慮を」女優・杉本彩が訴える”動物愛護・動物福祉”
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 今月、千葉県の銚子電鉄で開催される予定だった、車内で猫とじゃれながら写真を撮ることのできる「ぬくねこ電車」という企画。しかし、騒音や慣れない車内の環境は猫に負担が大きすぎるとの指摘を受け、中止に至った。

 この判断に「英断だ!!」「猫を客寄せとして使う考え自体間違ってる!」という声もある一方、「似たようなイベントやっているのに厳しくない?」「動物が嫌と言ってないのに、勝手に拡大解釈しすぎ」と否定的な声もある。

 こうした動物愛護をめぐる問題は鑑賞や飼育の領域だけでなく、捕鯨や、フォアグラを得るためにアヒルをむりやり太らせる生産方法など、食の領域でも常に議論されている。

 27日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した 公益財団法人動物環境・福祉協会Eva代表理事で女優の杉本彩氏も、「基準は人によって色々とあっていいと思うが、極力やさしい生き方を選びたい」として、動物愛護を強く訴える一人だ。

 「ぬくねこ電車が中止になったのは当然の結論で、良かったと思う。猫と暮らしている人だったら、これがいかに危険でストレスがかかる行為か分かると思う。猫にとっては不快な状況で人間だけが楽しむというのは、エゴ以外の何物でもない。たとえば毛をカットされることについて犬が不快に感じないのならば問題ない。しかし人間の都合で扱いやすいように品種改良されてきたということについては決して肯定できない。猫カフェなども、人間が楽しむためだけに動物を営利目的で使っているビジネスだ。内部告発や相談を受けるが、非常に無理のあるスタイルだと思う。人間の管理下にある動物は、間違った形で好きに扱っていいと思わせてしまうのは、子どもたちの教育にとっても良くないと思う。やるなら最低限、ちゃんと指導できる人が環境を整えた上で、適切な触れ合い方を学ばせるべきだ。その意味では、イルカショーも動物園も、ほとんど動物福祉に配慮していない、残念な所が多いと思う」。

 その上で「大切なのは、動物愛護の先にある“動物福祉”だ。動物の生態を理解し、動物の目線に立って、それがどうなのかを考え、より快適に、より良く生きられることを優先すれば、自ずと何が良くて何が悪いかが見えてくる。よく夏祭りなどで“ふれあい動物園”が開催されるが、動物が真夏の炎天下で酷い扱いを受けていることもあるので、主催者に要望を出す。すると“そうですよね。動物にとって負担なんですね。気付かなかった”として、次から実施しないという決断をしてくれることもある」と話した。

 また、杉本氏は食の問題についても「例えばフォアグラは胃の中に機械を突っ込み、強制的に給餌する。これを残酷だとは思わないのか。また、ストール飼いといって、妊娠しているブタを身動きできないようにしているような農場もある。こうしたものは“アニマルウェルフェア”に反していると思う。そもそも食べてはいけないという人もいるが、私は食べることそのものは否定しない。しかし、命をいただくまでは、動物が不快に感じず、より良く生きられるように人間は配慮しなければならない。ブタで言えば、できれば放牧で飼育する農場であってほしい」と訴えた。

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 保護犬・保護猫の里親募集サイト「OMUSUBI」の事業責任者の井島七海氏は「動物といっても愛玩動物、畜産動物、動物園動物、野生動物、実験動物がいるので、議論をする上では分けて考えるべきだ。それぞれにとってどういう環境が適切なのかは違うので、全て一緒くたにしてしまうと、そもそも解決策が見つからない。今回の問題と同じようなケースは他にもあり、例えば三陸鉄道が譲渡目的で同じようなイベントを開催したケースがあった。OMUSUBIに登録している団体で、移動式の譲渡会を開催している保護団体もいらっしゃる。しかし、こちらの譲渡会は批判を浴びなかった。こういう点は人間の主観も入ってくる部分なので、すごく難しいポイントだ」と説明。

 その上で「言葉を持たない動物たちについて正しさを求めることはできないと思うが、継続して考え抜いていくこと、科学的に証明された基準に対しては、ロジックを元に反映していくことが大切だ。ただ、アニマルウェルフェア、動物福祉の考え方や、そもそも動物に対する考え方は、人の主観や共感能力に依存してしまうところがあるので、客観的な基準を設けにくい。そこで、家畜動物の福祉を考えるところから始まった“5つの自由”という基準がある。動物たちを何から解放しなければならないのか、ということで、人間の責任として、まずは飢えや乾きからの解放、それから不快さからの自由、動物らしい行動をする自由、病気、痛みからの自由、精神的な恐怖、圧力からの自由だ」と説明していた。

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 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「実際、僕は酷い管理をされた動物の肉を美味しく食べて、健康に生きている。答えは出ないが、そういう支配に対して“やめろ”というのではなくて、とんでもない酷い支配をしていることを目の当たりにしてもらって、向き合ってもらうことが大事なのではないか」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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