誰もが震えてしまいそうな局面でも、“麻雀ロボ”はやはり変わらなかった。大和証券Mリーグ2019・3月6日の第1試合で、U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)が負ければレギュラーシーズン敗退が濃厚となる土俵際で粘り、今期9勝目を獲得した。
この対局は起家からKADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)、小林、渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)、TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)の並びでスタート。
東1局、瀬戸熊に倍満をツモられ、その後も失点が続いた小林は南1局を迎えた時点で3着目。ここから“船長”の反撃が始まった。
この局に3900点をアガると、南2局の親番では難しい手牌をまとめて連荘、テンパイ料で加点、そして南2局3本場にチャンスが訪れる。リーチ・ツモ・タンヤオ・平和の7800点(+900点)を獲得し、これが決定打となった。
インタビューではさすがの小林も、少しホッとしたような表情。道中、ライバルの攻めに対して押し返す場面では、放銃するとセミファイナルが絶望的になるシーンもあった。これを振り返って「(振り込んだら敗退すると)覚悟をしていた」と語ったが、試合中からこの談話まで、まるでこれがレギュラーシーズンの途中であるかのような冷静さがあった。
さらに小林は「視聴者もやっているほう(選手)も、(ギリギリの状況を)楽しめるようにならなきゃね」と話を盛り上げると、「他人事かw」「おもしろがっているw」とファンも衝撃を受けていた。インタビュー最後には船長らしく堂々と決めポーズ。これにはまたも「船長さすがや」「泣いちゃう」とファンからのコメントが並んだ。
この日、チームはセミファイナル進出のため、とにかくドリブンズを上回ることが至上命題。そのためにも、最低でも1勝+2着or3着が必要な状況で、小林はプレッシャーを感じるプログラムの消去、アンインストールをしたかのような、肝の据わった戦いぶりだった。
振り返ればリーグ創立年度である昨年、ファイナルを逃した後も、大きく態度を変えることもなく、その結果を受け入れるという、非常に強いメンタルを見せていた小林。昨年と同じく、ボーダーライン付近のギリギリの戦いの中で、チームメイトやファン、関係者がしびれる中、憎らしいほどクール、実際にこの緊迫を楽しんでいる様子すらあった。
パイレーツの航海は、自らの日程を消化してもまだ続く。最後のその瞬間まで、この男だけはブレずに頼りになる、まさに船長というリーダーシップを発揮し続ける。
【1回戦結果】
1着 U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)3万6600点/+56.6
2着 渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)3万2200点/+12.2
3着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)2万点/▲20.0
4着 KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎(連盟)1万1200点/▲48.8
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(AbemaTV/麻雀チャンネルより)







