新型コロナウイルスの国内感染が広がっていることを受け、弁護士ドットコムが6日、「職場で急増するコロハラ」と題した記事を公開した。コロハラとは、コロナハラスメントの略で、新型コロナウイルスに起因したハラスメントのこと。記事の公開後、「#コロハラ」はTwitterトレンド1位を記録した。
記事によると、喘息で咳をしているだけで「周囲を不安にさせたから謝罪するように」と迫られた、感染者が確認された町から通勤しているというだけで感染を疑われた、花粉症でくしゃみをしただけで「会社に来るな」と同僚に言われた、などという事例が急増しているという。
このようなハラスメントを予防するにはどうすればよいのか。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は、心理学的観点からコロハラを生まない“4つのファクト”を挙げた。
(1)無症状の人もいる→感染しないためには家にいるしかない
(2)咳が出る背景はさまざま→コロナウイルスとは限らない
(3)過敏になりすぎるとストレスがたまり病気になりやすい
(4)非常時には人間性や普段の人間関係が分かる
藤井氏は、「この種のハラスメントが起きる背景には、まず『事実に基づかない思い込みや理解』があって、そこに個人の感情が加わることによって、最終的に言葉や態度として表出するということも多い。“ファクト”と題したのは、事実を意識し共有することでハラスメントの抑止力になるのではないか、という考えに基づいている」とした。
また「大前提として、言葉は特に暴力になることを含め、まずは加害者になりうる個人の自覚が必要。ハラスメントの問題は、やってしまう人の個人の資質の問題であることも多い。とはいえ、ハラスメントは被害者が個人のレベルで予防したり対抗するには限界がある。行き過ぎて被害が大きいようなら、弁護士に相談し訴訟という選択肢はある。しかし被害者の負担感が大きいことや、現状企業を含め社会的活動・情勢が平時とは違うことも踏まえると、常に大ごとにできるわけではない。そのため、やはり集団のムーブメントや潮流を作る必要がある。その意味では、4つのファクトを共有事項として周知徹底することは、ハラスメントを減らす基盤になるのでは」とし、「最近では、『これ言ったらセクハラになるのかな』などという会話が職場であがることが多くなってきた。そもそもそれくらいは言わずとも気づくべきということはあるが、この発言が出てくる背景には『ハラスメントは無くさなければならない』という考えが共有され空気が醸成されているからこそ。無自覚に対しての集団、組織レベルでの啓発が一定の効果を有していることの表れと考えることもできる」と説明した。
加えて「場合によっては『コロ休』も想定すべき。すでに感染拡大対策の一環として行っている企業もあるが、コロハラの遠因として『いつ自分にも感染るか分からない』という慢性化した不安や恐怖の蓄積があって、それが対人コミュニケーションにネガティブに反映されている側面がある。有休などと同じように制度化して、できる企業や個人はひと休みすることも一案では」とした。
一方で「ハラスメントは加害者が絶対的に悪いのは間違いない」としながらも、「コロナウイルスに起因していないとしても、至近距離で咳をかけられたり、その風圧を浴びせられたら、決してよい気持ちにはならないし、積み重なるとどうしてもやられた方は過敏になってしまう。ハラスメントとは別の問題ともいえるが、この時勢、咳エチケットなど基本的なマナーは遵守して、お互いに配慮することは必要」と付け加えた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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