新型コロナウィルスの感染拡大を受け、無観客ながら開催となった大相撲春場所が今のところ、無事に折り返しを迎えようとしている。1人でも感染者が出たら場所は打ち切りとなるだけに、力士は1日2回の検温で37度5分が2日続いたら理由を問わず休場、場所の行き帰りは公共交通機関を使わず自家用車やタクシーなどを利用して費用は全額協会持ち、会場入り後の外出は禁止など、厳戒態勢が敷かれている。
史上初の無観客場所では横綱が平幕力士に敗れるようなことが起きても当然、大歓声や拍手はなし。座布団も飛ばず何とも味気ない。普段の場所なら勝てば大喝采、負ければ大きなため息が館内にこだまする炎鵬は初日に敗れ「何のために戦っているのか、今日は見つけられなかった。どれだけ声援に力をいただいているのかを感じた」と違和感を覚えずにはいられなかった。
3日目の豊山戦は激しい突っ張り合いの後、近年の相撲では珍しい手四つの体勢となり、互いに相手の出方をうかがう場面も。本来であれば、ヒートアップした館内のムードが日本人特有の判官びいきとも相まって99キロの小兵を後押しし、相手を“完全アウエー”の空気に飲み込んでいたかもしれない。「何も閃かなかった」という炎鵬はいいところなく1分を超える熱戦の末、最後は押し倒されてしまった。
大量の塩を撒き、館内を盛り上げて自身の気合いを高める照強も「声援を力に変えようと思っても声援がないから」と序盤は戸惑いを隠せなかった。
土俵上の力士と観客が一体となって醸し出す独特な雰囲気は、時に番狂わせも演出するが今場所はそれがなく取組は淡々と進行していく。拍手や声援のない相撲はまるで稽古場のようだ。「あまり緊張しない」という言葉も多くの力士から聞こえてくる。巡業の稽古などでは10連勝以上することも珍しくない碧山は、初日から6連勝とここ最近にない好調ぶりで「今場所は集中できている。稽古場みたい」と話すのがあたかも象徴的。以前から稽古場の強さには定評がある男の面目躍如だ。そういう意味では、無観客場所は現状の力量が掛け値なしに如実に現れる場所なのかもしれない。
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