紺碧の海に囲まれた沖縄。緑深き森を抜けると、そこには“ガマ”と呼ばれる洞窟がある。「顔や、真正面や。完全な人間の顔や」「軍靴」。ガマから掘り出されたのは日本兵の遺品や遺骨だ。それらを収集し、遺族のもとへ届ける。「僕やったらここで倒れたくない。僕やったら自分の墓に入りたい」とガマを見つめるのが、南埜安男さん(55)だ。今なお沖縄戦を掘り続ける、1人の男性を追った。
今から75年前の太平洋戦争末期、アメリカ軍が上陸し、沖縄戦が始まった。およそ20万人が犠牲になったと言われているが、今でも2849柱(未収集骨数・2019年3月時点沖縄県調べ)が眠っているとされる。